もう迷わない!分かりやすい懲戒処分の判断基準

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る
懲戒の基準

社員による不祥事が生じた際,会社は懲戒処分を検討することが多い。会社の秩序を守るためには厳しい処分をもって臨みたい。

しかし,懲戒処分の選択を誤ると,後々になって従業員から懲戒処分無効の訴訟を起こされるリスクがある。

とはいえ,軽い処分では戒めにならない。

一体どの程度の懲戒処分が適当なのか?迷う会社も多いだろう。そこで,今回は会社にとって参考になる懲戒処分の基準について,踏み込んで解説をしたい。

目次

1 懲戒処分の基準

1.1 法律が定める具体的基準は無く,企業の自己責任で判断するしかない

まず,懲戒処分の基準について法律の定めは次のものがある。

労働契約法第15条 使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。

これは,懲戒処分が有効となる為には,「客観的に合理的な理由」,つまり就業規則で定める懲戒事由に該当する行為が存在すること,処分が「社会通念上相当である」こと,つまり不祥事に対する処分として常識的に考えて重すぎる処分ではないこと,という2点の要件を定めている。

しかし,これだけでは,一体どんな事実があれば「客観的に合理的な理由」があり,かつ,「社会通念上相当である」のか不明確であり,具体的な基準は全く読み取れない。

労働基準法第91条 就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。

これは,減給処分を行う際の限界を定めたものであるが,そもそもいかなる事実があれば減給処分が出来るのかという肝心の具体的基準が明記されていない。

結局は,会社は,「客観的に合理的な理由」があり,かつ,「社会通念上相当である」のかについて,ケースバイケースで判断せざるを得ず,有効か無効かという結果は,裁判の場で裁判官の判断(判決)が出るまでは分からないのである。

会社が懲戒処分の決定に悩む原因はこのように法律が具体的な基準・目安を定めていないことにある。

1.2 世の中で公表されている参考データ

1.2.1 代表的データ

もっとも,懲戒処分の基準となりえる参考データはある。

  • ① 裁判例
  • ② 民間データ
  • ③ 公務員データ

が代表的な参考データだ。

1.2.2 ①裁判例

メリット

これは懲戒事案に関する裁判所の過去の判断になりますので,最も参考になる。類似の事案に関する裁判例を調べることによって,裁判所が考える懲戒処分の一応のデッドラインを読み取ることが可能だ。

デメリット

ただし,判例は過去の当該事案限りの判断なので,自社の事案でも同じ判断がなされる保障は無いことを念頭に置くべきである。裁判所の判断はケースバイケースで異なり得るからだ。
また,出来るだけ裁判例の原典を確認することが重要だ。裁判例の一部が抜粋されて引用された本だけを読み「自社に有利な判例だ」と思える事案であっても,実際に裁判例原典を読むと本には記載されていない事情があり,自社のケースの参考には出来ないことも多いからだ。

1.2.3 ②民間データ

メリット

民間企業のデータとしては「懲戒制度の最新実態」(労務行政研究所)が実務上参照されている。これは上場企業(新興市場の上場企業も含む)3552社と,上場企業に匹敵する非上場企業280社の合計3832社を調査対象としたデータである。また,数年に一度情報が更新されており,企業における懲戒処分の実態の最新データであり信用性が高い。発行元の労務行政研究所は,企業の労務に関する専門誌や専門書を発行する財団法人であり,多くの企業の人事担当者の信頼を得ており,記事の信用性は高い。

デメリット

アンケート結果は,裁判に至った事例では無く,企業における具体的な実例に過ぎない。裁判になれば覆ったかもしれない企業の処分(実際には社員が裁判を起こさなかっただけ)も一定割合含まれていると思われる。その意味で,①裁判例から読み取れる基準よりは,若干緩めのデータと理解した方が良いだろう。また,大企業に対する調査データであるので,従業員100名以下の小企業や30名以下の零細企業については必ずしも妥当しない部分もある。

1.2.4 ③公務員データ

メリット

公務員における懲戒処分のデータとして「懲戒処分の指針について」(人事院)がある。これは人事院が定めた公務員の懲戒処分の参考基準である。民間企業の社員と役所の公務員とは組織の性質が異なるが,雇用関係の実態や秩序維持の要請の程度は共通する部分も多い。懲戒処分の基準についても,民間企業の基準と比べて大きな差は無く,参考にすることが出来る。実際にも,民間企業の社員に対する懲戒処分の有効性に関する訴訟において,裁判所が参考にしていることも多い。

デメリット

とはいえ,公務員に対する懲戒処分の基準であるので,民間企業の基準と同一視は出来ない。民間企業に比べ,公務員に対する懲戒処分の基準の方が緩いことが多いと思われる。その意味で,民間企業における懲戒処分の基準よりは,若干緩めのデータと理解した方が良いだろう。

1.3 本記事による検討

以下,モデルケース毎に懲戒処分の基準について検討していく。事例が多数並んでいるので,冒頭の目次を使って閲覧してもらった方が便利であろう。

なお,②民間データは,「労政時報」第3949号(2018年4月13日発行)P38~「懲戒制度の最新実態」を参照及び引用している。集計社数は149社,複数回答あり,懲戒の種類として就業規則の規定していなくても実態として相当する措置を行っている場合も集計対象としている。

また,③公務員データについては,「懲戒処分の指針について」(人事院)2016年9月30日改正のものを参照及び引用している。

2 私生活上の非行

2.1 電車で痴漢行為をして逮捕された(本人も認める)

【裁判例】

  • ●東京メトロ事件(東京地裁 平27.12.25判決)
    地下鉄駅員の地下鉄内痴漢行為(条例違反)による罰金刑を理由とする諭旨解雇を無効とした
  • ●小田急電鉄事件(東京高裁 平15.12.11判決)
    鉄道会社従業員の条例違反の痴漢行為を理由とする懲戒解雇を有効とした(ただし、懲戒解雇の半年前に別件の痴漢行為により罰金刑に処せられ懲戒処分を受けていた)
  • ●事件名なし(東京地裁 平15.12.8 判決)
    物流事業を業とする一部上場企業の社員(男)が通勤途中の電車内で女性(26歳)の着衣の上から陰部を触った痴漢行為(条例違反)により執行猶予付有罪判決を受けたことを理由に行った懲戒解雇を有効とした(初犯)

【民間データ】

  • 1位 懲戒解雇(49.4%)
  • 2位 諭旨解雇(44.7%)
  • 3位 降格・降職(20.0%)

【公務員データ】

  • 淫行(18歳未満の者と買春):免職または停職
  • 痴漢:停職又は減給
  • 盗撮:停職又は減給

2.2 終業後,社外で酒を飲んで喧嘩して警察沙汰になった

【裁判例】

  • ●アサノ運輸事件(東京地裁八王子支部 昭46.10.16判決)
    酒席で上司2人に暴行を加え、負傷させたことを理由とする懲戒解雇について,酒に酔った上でのものであり,その態様も悪質では無く,怪我の程度の軽いことなどから,懲戒解雇を無効とした。
  • ●東部生コンクリート事件(高知地裁 昭53.11.13判決)
    同僚の引っ越し祝いの酒宴でけんかをし,ナイフを持ちだしたことを理由とする懲戒解雇について,けんか・口論の末に酒に酔って持ち出したものであること,その後相手方と仲直りしていること,刑事事件に発展しなかったことから,懲戒解雇は無効となった。

【民間データ】

  • 1位 戒告・譴責・注意処分(33.3%)
  • 2位 出勤停止(32.7%)
  • 3位 降格・降職(26.3%)

【公務員データ】

  • 酩酊による粗野な言動(暴行・傷害なし):減給又は戒告
  • 暴行(傷害に至らない場合):減給又は戒告
  • 傷害:停職又は減給

2.3 同僚にストーカー行為を繰り返した

【裁判例】

  • ●X社事件(東京地裁平19.4.27)
    TV局に勤務する社員(男・当時39歳)が,看板番組「24時間テレビ」のボランティアとして関与していた女子大生(2年生)と知り合い,同人に対して,嫌がっているにもかかわらず性的言動に及び,拒否されているにもかかわらず異常な言動を繰り返し,自分の要求が叶わない場合は何らかの危害を加えるかのような言動を繰り返した為,会社が懲戒休職6ヶ月(無給)の処分をしたが有効と判断した

【民間データ】

  • 1位 諭旨解雇(34.5%)
  • 2位 出勤停止(32.2%)
  • 3位 懲戒解雇(28.7%)

【公務員データ】

  • 職場内秩序を乱す行為(暴行なし):減給又は戒告

2.4 サラ金から借金を重ね自己破産となった

【裁判例】

  • ●日光産業ほか1社事件(大阪地裁堺支部平22.5.14判決)
    従業員が暴力団系金融業者から借金をし,会社に取立の電話がきたことが「素行不良」という懲戒事由に該当するとして減給処分をした事案において,借金自体は素行不良に当たるとはいえず,また借金の取り立て電話をしたのは金融業者であるとの理由で減給の懲戒処分を無効とした。
  • ●学校法人B(教員解雇)事件(東京地裁平22.9.10判決)
    多重債務者であった教員の給与債権について差押命令がなされ,学校法人が法務局平成毎月供託を余儀なくされて続けていることを理由に学校法人の名誉・信用の侵害,職務上の義務違反を理由に行った懲戒解雇について,懲戒事由に該当しないとして無効と判断した

【民間データ】

  • 1位 処分対象外(46.2%)
  • 2位 判断不可(26.3%)
  • 3位 戒告・譴責・注意処分(19.3%)

【公務員データ】

  • データなし

3 業務に関する横領・背任等

3.1 売上金100万円を使い込んだ

【裁判例】

  • ●東日本旅客鉄道(懲戒解雇)事件(東京地裁平13.10.26判決)
    駅輸送係として勤務していた従業員が,警察署から受領した遺失物還付金(約6万円)を会社に納入せず着服したこと,その3ヶ月後にも警察署から受領した遺失物還付金(約6万円)を1ヶ月にわたって所定の手続を行わずに放置したことを理由に行った懲戒解雇を有効と判断した。
  • ●ダイエー(朝日セキュリティーシステムズ)事件(大阪地裁平10.1.28判決)
    大型スーパーマーケットの関連企業で綜合警備保障を営む会社に出向中の次長職にあった社員が,慰労会での飲食代を仮払いし,領収書を改ざんして差額の10万円を着服したことを理由になされた懲戒解雇を有効と判断した。
  • ●協栄生命保険事件(東京地裁平8.7.24判決)
    生命保険会社の保険外務員が,客先から受領した保険料約125万円を所定の期間に納入しなかったことを理由になされた懲戒解雇を有効と判断した。
  • ●日本旅行事件(大阪地裁平6.2.23)
    旅行代理店の社員が顧客から集金した旅行代金約100万円を会社に入金せず,着服したことを理由とする懲戒解雇を有効と判断した。
  • ●前橋信用金庫事件(東京高裁平元.3.16)
    集金業務に従事していた信用金庫の従業員が,顧客から集金した金員のうち1万円を着服したことを理由になされた懲戒解雇を有効と判断した。
  • ●東京都公営企業管理者交通局長事件(東京地裁平23.5.25判決)
    都営バスの運転手である社員が,運賃を乗客から直接手で受け取るなどし,1,100円を不正に着服したことを理由になされた懲戒解雇を有効と判断した。

【民間データ】

  • 1位 懲戒解雇(74.0%)
  • 2位 諭旨解雇(37.0%)
  • 3位 降格・降職(14.5%)

【公務員データ】

  • 横領:免職
  • 窃盗:免職

3.2 取引先から個人的に謝礼金等を受領していた

【裁判例】

  • ●トヨタ車体事件(名古屋地裁平15.9.30)
    課長職にあった社員が,発注権限を濫用し,自ら設立し代表取締役を務める別会社を通じて下請会社2社から多額(1,800万円超)のリベートを受け取っていたことを理由になされた懲戒解雇及び退職金不支給の措置を有効と判断した。
  • ●わかしお銀行事件(東京地裁平12.10.16判決)
    銀行の社員が,副支店長時代に取引先として紹介して,謝礼として620万円を受け取ったことを理由になされた懲戒解雇を有効と判断した。

【民間データ】

  • 1位 諭旨解雇(33.1%)
  • 2位 懲戒解雇(31.4%)
  • 3位 降格・降職(25.0%)

【公務員データ】

  • 贈賄:免職

3.3 同僚の売上金の流用を知りながら報告しなかった

【裁判例】

  • ●関西フェルトファブリック事件(大阪地裁平8.3.15決定)
    経理担当の部下による長期間かつ多数回にわたる横領行為を知り得た状況にあったにもかかわらず,これを放置していたことを理由になされた懲戒解雇を有効と判断した。
  • ●尾崎町農協事件(大阪地裁平7.4.26判決)
    部下である課長の行った不正な出金手続を認識し,同人が同種の行為を繰り返す危険のあることも容易に予測できた参事が,監督を強化するなどして農協の損害拡大を防止せず,かえって上記行為の発覚を防ぐため手形貸付を仮装し,経理操作をしたことを理由になされた諭旨解雇について,金融機関として適正に業務を遂行して使命を果たし,社会的な信用を維持しなければならないところ,参事として全職員を指導監督すべき地位にある者がした上記行為は,職場秩序を著しく害し,金融機関としての社会的借用を著しく損なうものであるとして,諭旨解雇を有効と判断した。
  • ●大阪相互タクシー〔乗車拒否〕事件(大阪地裁平7.11.17決定)
    部下の乗車拒否事件につき,上司である課長に指導監督義務違反があったとして同課長を諭旨解雇処分とした事案で,個別指導の時間的限界や乗車拒否防止の困難性等を考慮すれば,仮に同課長に義務違反があったとしてもその違反の程度は大きいものであるということはできないとして,同処分を無効と判断した。
  • ●日本交通事業社事件(東京地裁平11.12.17判決)
    在籍出向中の取締役が,出向先での部下の不明金着服に関し,出向元の監督者懲戒処分規定により諭旨解雇された事案で,間接的であるとはいえ出向元の企業秩序が乱されたとして同規定を適用あるいは準用することが許されるとしても,出向元の企業秩序に及ぼす影響が間接的にとどまることは,本件解雇の有効性を検討する上で考慮されなければならないとし,同処分を無効と判断した。
  • ●りそな銀行事件(東京地裁平18.1.31判決)
    銀行の副支店長が約11か月間に15回のゴルフ等の接待を受け(うち5回は社内通達による接待禁止期間に行われた),接待を受けていた融資課長を制止することなく,ともに接待を受けて部下に対する指導監督責任を問われた事案で,副支店長に対する懲戒解雇を無効と判断した。

【民間データ】

  • 1位 戒告・譴責・注意処分(48.5%)
  • 2位 減給(34.5%)
  • 3位 出勤停止(18.1%)

【公務員データ】

  • (部下の)指導監督不適正:減給又は戒告
  • (部下の)非行の隠蔽・黙認:停職又は減給

4 就業規則違反等

4.1 業務に重大な支障を来すような経歴詐称があった

【裁判例】

  • ●スーパーバック事件(東京地判昭55.2.15)
    大卒を高卒と申告し,三社での勤務歴を秘匿していた従業員を,「経歴を詐りその他の詐術を用いて雇用された場合」との懲戒事由に該当するとして懲戒解雇した事案で,懲戒解雇を有効と判断した。
  • ●川崎製鉄所事件(神戸地判昭30.6.3)
    「新制高等学校二年中退」を「新制中学校卒業」と申告した従業員を,「年令住所経歴扶養家族数等雇入れの際の調査事項を偽りその他不正の方法を用いて雇い入れられた者」との懲戒事由に該当するとして懲戒解雇した事案において,懲戒解雇を無効と判断した。
  • ●ゲラバス事件(東京地判平16.12.17)
    職務に必要なJAVA言語のプログラミング能力がほとんどなかったにもかかわらず,その能力を有しているかのような職歴を経歴書に記載し,採用面接時にも同趣旨の説明をして,ソフトウェアの研究開発や製作を行う会社に採用された従業員を,経歴詐称を理由に懲戒解雇した事案において,懲戒解雇を有効と判断した。
  • ●生野製作所事件(横浜地川崎支判昭59.3.30)
    溶接の熟練工の雇入れを目的としていた会社に対し,労働者が面接時に職歴欄記載の企業において一貫して溶接作業に従事していた旨虚偽の事実を述べ,また,実際に従事することとなる作業の内容をみせたところ「これなら自信がある」と述べたため同会社に採用されたものの,実際には溶接の熟練工として期待された技能を著しくかけ離れた技能しか有しておらず,採用後の現実の業務に種々の支障が生じさせた労働者を諭旨解雇した事案において,諭旨解雇を有効と判断した。
  • ●北海道宅地建物取引業協会事件(札幌地判平23.12.14)
    税理士登録をしていた事実を履歴書に記載しなかった労働者を,経歴詐称を理由に譜責処分をした事案において,懲戒処分を無効と判断した。
  • ●X社事件(岐阜地判平25.2.14)
    採用直前の3カ月間,風俗店に勤務していたことを履歴書の職歴欄に記載しなかった労働者を懲戒解雇した事案において,軽微な経歴詐称であるとして懲戒解雇を無効と判断した。
  • ●メッセ事件(東京地判平22.11.10)
    名誉棄損罪で服役をしていた事実を隠し,その期間海外において経営コンサルタント業に従事していたと虚偽の申告をしていたことが経歴詐称にあたるとして懲戒解雇した事案において,懲戒解雇を有効と判示した。
  • ●豊橋総合自動車学校事件(名古屋地判昭56.7.10)
    女性教習生と不倫関係となったことや採用時より約18年前の刑罰歴(窃盗罪で懲役1年6月執行猶予3年の刑に処せられ,その後窃盗罪で懲役8月の刑に処せられ,従前の執行猶予が取り消され,各刑に服した事実)を秘匿して雇用されたことを理由に懲戒解雇をした事案において,懲戒解雇を無効と判断した。

【民間データ】

  • 1位 懲戒解雇(46.5%)
  • 2位 諭旨解雇(37.8%)
  • 3位 降格・降職(18.0%)

【公務員データ】

  • データなし

4.2 社有車を無断でしばしば私用に使っていることが判明した

【裁判例】

  • データなし

【民間データ】

  • 1位 戒告・譴責・注意処分(53.5%)
  • 2位 減給(39.4%)
  • 3位 出勤停止(24.1%)

【公務員データ】

  • 交官物処理不適正:減給又は戒告

4.3 終業時刻後に酒酔い運転で物損事故を起こし,逮捕された

【裁判例】

  • ●千葉中央バス事件(千葉地決昭51.7.15)
    バス運転手が,企業外で酒酔い運転および暴行により罰金刑に処せられたことを理由として懲戒解雇された事案において,懲戒解雇を有効と判断した。
  • ●笹谷タクシー事件(最一小判昭53.11.30)
    後輩のタクシー運転手に飲酒を勧めたうえで自動車を運転させ,人身事故を誘発させた先輩タクシー運転手が,就業規則の慾戒事由である「酒気を帯びて自動車を運転したとき」を準用して懲戒解雇された事案で,懲戒解雇を有効と判断した。
  • ●京王帝都電鉄事件(東京地決昭61.3.7)
    路線バスの運転士が,勤務終了後約1時間の間にウイスキーの水割り3杯とビール中ぴん1,2本程度を飲酒し,約2時間弱の仮眠をとった後,自家用車の運転中に過失致死事故を起こしたことを理由に懲戒解雇された事案において,懲戒解雇を有効と判断した。
  • ●相互タクシー事件(最一小判昭61.9.11)
    タクシー運転手が,勤務時間外に酒気帯び運転,安全運転義務違反により物損事故を起こし,罰金刑に処せられたことを理由に懲戒解雇された事案で,懲戒解雇を無効と判断した。
  • ●達田タクシー事件(金沢地判昭60.9.13)
    タクシー運転手が勤務時間外に酒気帯び運転をし,検挙されたこと等を理由に普通解雇された事案で,解雇を無効と判断した。
  • ●ヤマト運輸事件(東京地判平19.8.27)
    貨物自動車運送業のセールスドライバーが,業務終了後に帰宅途上で飲酒し,自家用車を運転中に酒気帯び運転で検挙されたことを理由に懲戒解雇された事案において,懲戒解
    雇を有効と判断した。
  • ●京阪バス事件(京都地判平22.12.15)
    バスの運転手が,出庫点呼時のアルコール検査でアルコールが感知され,出勤停止の慾戒処分を二度受けていたところ,三度日にアルコールが検知されたことを理由に諭旨解雇された事案において,諭旨解雇を無効と判断した。

【民間データ】

  • 1位 懲戒解雇(48.0%)
  • 2位 諭旨解雇(36.8%)
  • 3位 降格・降職(23.4%)

【公務員データ】

  • 酒酔い運転:免職又は停職(人身事故は免職)
  • 酒気帯び運転:免職,停職又は減給(人身事故は免職又は停職)

4.4 営業外勤務者が業務中に自動車で通行人をはねて死亡させ,本人の過失が100%であった

【裁判例】

  • データなし

【民間データ】

  • 1位 懲戒解雇(45.9%)
  • 2位 諭旨解雇(32.9%)
  • 3位 出勤停止(21.8%)

【公務員データ】

  • 交通事故(死亡又は重篤な傷害):免職,停職又は減給(ひき逃げは免職又は停職)

4.5 車を運転して営業中に得意先から携帯電話に着信が入り,話に熱中して事故を起こした

【裁判例】

  • データなし

【民間データ】

  • 1位 戒告・譴責・注意処分(38.8%)
  • 2位 減給(34.7%)
  • 3位 出勤停止(27.1%)

【公務員データ】

  • 交通事故(死亡又は重篤な傷害):免職,停職又は減給(ひき逃げは免職又は停職)
  • 交通事故(傷害):減給又は戒告(ひき逃げは停職又は減給)
  • 交通事故(その他):停職,減給又は戒告(ひき逃げ等は停職又は減給)

4.6 無断欠勤が2週間に及んだ

【裁判例】

  • ●東京プレス工業事件(横浜地判昭57.2.25)
    従業員が,6カ月の間に,24回の遅刻と14日間の無断欠勤を行った(当該6カ月の間に完全な就労をしたのは就労すべき日数の69%程度にとどまっていた)ことを理由として懲戒解雇された事案において,懲戒解雇を有効と判断した。
  • ●日立製作所事件(東京地判平23.11.24)
    従業員が,約1年間の無断欠勤を理由として懲戒解雇処分された事案において,裁判所は,譴責,出勤停止1日,同5日と順を追って行われた後の懲戒解雇処分であり,当該懲戒解雇を有効であると判断した。
  • ●日本郵便事件(東京地判平25.3.28)
    従業員が,1カ月以上もの間(26出勤日)欠勤を続け,再三にわたって電話や出勤命令を受けながら無視し続けたことを理由として懲戒解雇された事案において,懲戒解雇を有効と判断した。
  • ●日本ヒューレット・パッカード事件(最二小判平24.4.27)
    精神的不調のために欠勤を続けている従業員に対してなされた諭旨解雇の有効性が争われた事案において,諭旨解雇を無効と判断した。

【民間データ】

  • 1位 懲戒解雇(53.5%)
  • 2位 諭旨解雇(38.4%)
  • 3位 出勤停止(14.5%)

【公務員データ】

  • 10以内の正当な理由なき欠勤:減給又は戒告
  • 11日〜20日の正当な理由なき欠勤:停職又は減給
  • 21日以上の正当な理由なき欠勤:免職又は停職

4.7 兼業禁止規定があるにもかかわらず,終業後や休日にアルバイトをしていた

【裁判例】

  • ●小川建設事件(東京地決昭57.11.19)
    勤務時間が午前8持45分から午後5時15分までである事務員が,会社の承認を得ないでキャバレーで午後6時から午前零時まで勤務していたことを理由に普通解雇された事案において,解雇を有効と判断した。
  • ●一橋元運輸事件(名古屋地判昭47.4.28)
    従業員らが,社長の実弟が設立した競業会社の取締役に会社の承諾なしに就任したことを理由に懲戒解雇された事案において,懲戒解雇を有効と判断した。
  • ●昭和室内装備事件(福岡地判昭47.10.20)
    木工,家具の製作および室内装備等を営む会社が,赤字経営の再建のため,時間外労働および休日労働を廃止して従業員の肉体的疲労度を軽減して就業時間内の作業能率の向上を図り,時間外労働および休日労働の廃止に伴う貸金低下を防止するために特別加算金を支給する特別措置を実施したところ,特別措置中に競業会社において就労していることが発覚した従業員らが,会社に厳重に注意されたにもかかわらずこれを継続したことを理由に懲戒解雇された事案において,懲戒解雇を有効と判断した。
  • ●東京メデカルサービス・大幸商事事件(東京地判平3.4.8)
    病院に対する医療用機器・医薬品の販売を主たる業務とするA社の従業員が,自己が代表取締役であるB社においてA社に関連する取引を行っていたところ,A社がこれを疑い釈明を求めるなどすると出勤しなくなり,無断欠勤等を理由に懲戒解雇された事案において,懲戒解雇を有効と判断した。
  • ●十和田運輸事件(東京地判平13.6.5)
    貨物運送業等を営む会社において,家電製品を各小売店に配送する業務に従事する従業員らが,各小売店から廃棄物となった家電製品を引き取り売却していたことを理由に懲戒解雇された事案において,懲戒解雇及び予備的普通解雇が無効であると判断した。
  • ●ジャムコ立川工業事件(東京地八王子支平17.3.16)
    航空機内装品の燃焼試験業務に従事していた従業員が,「慢性気管支炎」,「科学物質不耐症」により欠勤を開始し,その後休職扱いとされ休職給として給与の6割を受け取っていた間に,自らオートバイ販売店を開店して経営したことを理由に懲戒解雇された事案において懲戒解雇を有効と判断した。

【民間データ】

  • 1位 戒告・譴責・注意処分(49.7%)
  • 2位 減給(26.9%)
  • 3位 出勤停止(21.6%)

【公務員データ】

  • 兼職の承認等を懈怠:減給又は戒告

4.8 病気と偽って私傷病休暇・休職制度を悪用し,海外旅行に行っていた

【裁判例】

  • データなし

【民間データ】

  • 1位 戒告・譴責・注意処分(34.7%)
  • 2位 減給(30.0%)
  • 3位 出勤停止(27.1%)

【公務員データ】

  • 休暇の虚偽申請:減給又は戒告

4.9 会社が認めていない自転車通勤により,定期代を不正に受給していたことが発覚した

【裁判例】

  • ●光輪モータース事件(東京地判平18.2.7)
    従業員が,通勤経路の変更後,約4年8カ月にわたって従前の定期代を不正に受給していた(会社の損害34万7780円)ことを理由に懲戒解雇された事案において,懲戒解雇を無効であると判断した。
  • ●アール企画事件(東京地判平15.3.28)
    従業員が,住居を偽って,通勤手当を約3年にわたって合計約103万円を不正受給していたことを理由に懲戒解雇された事案において,懲戒解雇を有効と判断した(解雇予告手当の請求を棄却した)。
  • ●かどや製油事件(東京地判平11.11.30)
    従業員が,4年半もの長期間にわたり,虚偽の住所を会社に届け出て通勤費の支給を受け,約231万円を不正に利得していたこと等を理由に懲戒解雇された事案において,懲戒解雇を有効と判断した。
  • ●三菱重工業(相模原製作所)事件(東京地判平2.7.27)
    従業員が,通勤のための本拠地を自宅から会社近くのアパートに変更したにもかかわらず,その変更届をせず,約3年10カ月にわたって,自宅からの通勤に対応した通勤費(定期券の現物支給及び3カ月ごとに約1万5000円)等を受領し続けたこと等を理由に懲戒解雇された事案において,懲戒解雇を無効と判断した(ただし,普通解雇は有効と判断した。)
  • ●全国建設厚生年金基金事件(東京地判平25.1.25)
    従業員が,会社に対して通勤経路を記載した通勤状況届を提出していたが,実際には,当該通勤経路上の区間の定期券を購入せず,異なる区間の経路の定期券を購入しており,また,会社からの定期券購入の確認について虚偽の事実を申告していたことを理由に諭旨解雇された事案において,諭旨解雇を無効と判断した。

【民間データ】

  • 1位 戒告・譴責・注意処分(45.6%)
  • 2位 減給(34.5%)
  • 3位 出勤停止(20.5%)

【公務員データ】

  • 諸給与の不正受給:減給又は戒告

4.10 出張の経費を不正に上積みして請求していたことが判明した

【裁判例】

  • ●ダイフク事件(東京地判平22.11.9)
    従業員が,工事代金の架空請求等による詐欺,虚偽申請のうえでの海外旅行,宿泊費の不正請求を行った(合計金額2000万円以上)ことを理由に懲戒解雇された事案において,懲戒解雇を有効であると判断した。
  • ●NTT東日本〔出張旅費不正請求〕事件(東京地判平23.3.25)
    従業員が,日帰出張旅費につき70万円を上回る額を過大請求し,その私的流用を理由に懲戒解雇された事案において,裁判所は,当該行為は懲戒事由に該当し,懲戒解雇を有効であると判断した。
  • ●博報堂事件(東京地判平11.6.29)
    従業員が,現実には行っていない業務上の請求書を取引先から提出させ,会社から手形による支払いを受けさせ,当該手形を割り引いて取得した147万円あまりを着服したこと,個人の旅行費用等,137万円あまりを出張旅費に含ませることにより,会社から金品を詐取したことを理由に懲戒解雇された事案において,懲戒解雇を有効と判断した。
  • ●日本土地建物事件(大阪地判平11.1.25)
    従業員が,業務上使用した登記印紙代の立替金につき,偽造の売渡証明書107枚を利用して不正に精算し,少なくとも17万1200円を着服したことを理由に懲戒解雇された事案において,懲戒解雇を有効と判断した。
  • ●メディカルサポート事件(東京地判平12.2.28)
    調剤薬局の経営を行う会社の営業社員が,接待の事実がないにもかかわらず取引先を接待したとして合計約34万円(4件)の費用精算を不正に請求したことを理由に懲戒解雇された事案において,懲戒解雇を有効と判断した。
  • ●Y学園事件(大阪地判平22.5.14)
    私立高校の教諭である従業員が,書道部合宿の経費に閲し,PTAから実際に発生していない施設費名目で金員を詐取したことを理由に懲成解雇された事案において,懲戒解雇を無効と判断した。

【民間データ】

  • 1位 減給(39.4%)
  • 2位 戒告・譴責・注意処分(31.8%)
  • 3位 出勤停止(31.2%)

【公務員データ】

  • 諸給与の不正受給:減給又は戒告

4.11 社員割引で購入した商品や無断で持ち帰った会社の備品をインターネット上で販売し,利益を得ていた

.【裁判例】

  • データなし

【民間データ】

  • 1位 懲戒解雇・諭旨解雇(28.1%)
  • 2位 減給(27.5%)
  • 3位 戒告・譴責・注意処分(24.0%)

【公務員データ】

  • 官物の横領,窃盗:免職

4.12 社外持ち出し禁止のデータを独断で自宅に持ち帰っていた

【裁判例】

  • ●中外炉工業事件(大阪地判平13.3.23)
    従業員が,退職の直近に情報等の持ち出しをしないことを誓約していたにもかかわらず,会社に対する背信的意図に基づき会社の技術資料等を自宅に配送して持ち出したことを理由に懲戒解雇された事案において,懲戒解雇は有効であると判断した。
  • ●宮坂産業事件(大阪地判平24.11.2)
    従業員が,第三者である組合の分会長の依頼に基づき,取引先リストや従業員の昇給に関するデータを持ち出した行為及び当該行為につき窃盗罪で有罪判決を受けたことを理由に懲戒解雇された事案において,懲戒解雇を有効と判断した。

【民間データ】

  • 1位 戒告・譴責・注意処分(59.1%)
  • 2位 減給(32.7%)
  • 3位 出勤停止(26.3%)

【公務員データ】

  • コンピュータの不適正使用:減給又は戒告

4.13 コンピュータに保存されている重要なデータやプログラムを改ざんした

【裁判例】

  • データなし

【民間データ】

  • 1位 降格・降職(33.9%)
  • 2位 諭旨解雇(33.3%)
  • 3位 懲戒解雇(31.6%)

【公務員データ】

  • コンピュータの不適正使用:減給又は戒告

4.14 社外秘の重要機密事項を意図的に漏洩させた

【裁判例】

  • ●日本リーバ事件(東京地判平14.12.20)
    従業員が,当初より会社の機密情報を取得した状態で競合他社に就職しようとして機密性が高い事項を議題とした会議への出席を自ら希望して出席し,当該会議資料を持ち出し,データを漏洩した等の行為を理由に懲戒解雇された事案において,懲戒解雇を有効と判断した。
  • ●古河鉱業事件(東京高判昭55.2.18)
    従業員が,会社が工場再建のために策定し,極秘扱いしていた計画を持ち出し,謄写印刷した上で,計画反対のための組合の態勢作りの目的で,会社の業務上重要な秘密であることを知りながら当該秘密を漏洩した行為を理由に懲戒解雇された事案において,懲戒解雇を有効と判断した。
  • ●日産センチュリー証券事件(東京地判平19.3.9)
    従業員が,不当労働行為事件の担当弁護士へ顧客情報が記載された営業日誌を書証として提出するため,ファックス送信した行為を理由に懲戒解雇された事案において,懲戒解雇を無効と判断した。
  • ●メリルリンチ・インベストメント・マネージャーズ事件(東京地判平15.9.17)
    従業員が自己への嫌がらせについて弁護士に相談するために,会社の顧客情報や人事情報等を開示・交付した行為を理由に懲戒解雇された事案において,懲戒解雇を無効と判断した。
  • ●西尾家具工芸社事件(大阪地判平14.7.5)
    会社の経理課長の職にあった従業員が,社長から会社再建策を立案するよう指示を受けたため,検討会議において,被告の3期連続事業別損益通算書,予想資金繰表及び再建策を会議出席者に配布したところ,上司の許可なく経理機密資料を作成し会議にて会社に無断で配布したこと等を理由に懲戒解雇された事案において,懲戒解雇を無効と判断した。
  • ●武富士事件(東京地判平6.11.29)
    従業員が,家族ぐるみで交流のあったライバル会社の代表取締役に対する顧客情報の漏洩等を理由に懲戒解雇された事案において,懲成解雇を無効と判断した。
  • ●ブランドダイアログ事件(東京地判平24.8.28)
    被告の部長として雇用された従業員が,事前に上司に相談することなく使用者が販売パートナー契約を締結している会社に顧客リストをデータ送信したことを理由に懲戒解雇された事案において,懲戒解雇を無効と判断した。

【民間データ】

  • 1位 懲戒解雇(63.6%)
  • 2位 諭旨解雇(38.2%)
  • 3位 降格・降職(24.3%)

【公務員データ】

  • 秘密漏洩:免職又は停職(自己の利益を図った場合は免職)

5 職場の風紀を乱す行為

5.1 インターネットのアダルトサイト等,業務に関係しないサイトを閲覧し,業務に支障を来した

【裁判例】

  • ●K工業技術専門学校事件(福岡高判平17.9.14)
    専門学校の教員である従業員が,勤務先から貸与された業務用パソコンを使用してインターネット上の出会い系サイト等に投稿して多数回メールを送受信したこと等(5年間のメールの受信件数約1650通のうち約半数,送信記録約1330通のうち約6割が出会い系サイトを利用した送受信記録であり,さらにそのうち約半数が勤務時間中に送受信され,連日のように複数回,業務と無関係なメールを勤務時間中に送信していた)を理由として懲戒解雇された事案において,懲戒解雇を有効であると判断した。

【民間データ】

  • 1位 戒告・譴責・注意処分(68.8%)
  • 2位 減給(34.7%)
  • 3位 出勤停止(20.6%)

【公務員データ】

  • コンピュータの不適正使用:減給又は戒告

5.2 就業時間中,個人のブログやSNS等に日常的に書き込みをしていた

【裁判例】

  • データ無し

【民間データ】

  • 1位 戒告・譴責・注意処分(71.9%)
  • 2位 減給(29.2%)
  • 3位 出勤停止(18.1%)

【公務員データ】

  • コンピュータの不適正使用:減給又は戒告

5.3 インターネット上で会社や上司・同僚を中傷していた

【裁判例】

  • ●日本経済新聞社〔記者HP〕事件(東京地判平14.3.25)
    編集記者として勤務していた従業員が,個人開設のホームページ上で自ら新聞記者であることを明らかにした上で,業務上知り得た事実や体験を題材とした社内批判等の記事を記載したため,上司がホームページの閉鎖命令を行ったところ,当該従業員が閉鎖命令に従わなかったことを理由に14日間の出勤停止の懲戒処分とされた事案において,ホームページの全面閉鎖を命ずる権限はないので閉鎖命令に従わなかった行為は懲戒事由には該当しないと判断しつつ,HP上に業務上知り得た事実や体験を題材とした社内批判等の記事を記載した行為については,取材源秘匿,真実の報道の経営・編集方針に反し,その他「社外秘」扱いの事実の公開,会社批判文書が就業規則の服務規定に違反し懲戒処分事由に該当するとして出勤停止処分は有効と判断した。
  • ●関西電力事件(最一小判昭58.9.8)
    従業員が,会社を誹音中傷する内容のビラを就業時間外に会社社宅に配布したことを理由に譴責処分された事案において,譴責処分を有効と判断した。
  • ●カテリーナビルディング〔日本ハウズイング〕事件(東京地判平15.7.7)
    従業員が,出向先会社の上場承認を妨害する目的で,監査法人や日本証券業協会に対して,出向先会社を誹諦中傷する発言をしたことを理由に懲戒解雇された事案において,懲戒解雇を無効と判断した。
  • ●海外漁業協力財団事件(東京高判平16.10.14)
    従業員が,自己の勤務する財団が当該従業員ら夫婦を尾行し,その際に尾行者が当該従業員の妻に傷害を負わせた事実を文書にて財団の前非常勤理事と監事に送付したことを理由に停職3日間の懲戒処分とされた事案において,停職3日間の懲戒処分を有効と判断した。
  • ●北里研究所事件(東京地判平24.4.26)
    学校法人の事務長の役職にあり,「部長」の職位にあった従業員が,他の従業員から常任理事会の議事録等と決裁書の写し等を入手し,文書取扱規程に違反して文書を持ち出した行為(本件第1行為),理事長らの報酬に関する調査要求書を学外に対して交付・流布した行為(本件第2行為),被告理事長外を批判した役員宛文書と議事録写し等を添付した役員宛文書を流布した行為(本件第3行為)及び報酬基準改正等に関する週刊誌の記者からの取材申込みに対し,所属長に対する連絡も協議も行わずに応諾し,記事原稿を追認し,応答を行った行為(本件第4行為)が,就業規則62条8号の「法人の運営に関し故意に真相をゆがめ,又は真実を捏造し,宣伝流布したとき」に該当することを理由に係長に降格処分された事案において,降格処分を有効と判断した。

【民間データ】

  • 1位 戒告・譴責・注意処分(56.8%)
  • 2位 減給(30.2%)
  • 3位 出勤停止(23.1%)

【公務員データ】

  • コンピュータの不適正使用:減給又は戒告

5.4 妻子ある社員がスタッフと不倫関係になり,相手方の配偶者から苦情がきた

【裁判例】

  • ●繁機工設備事件(旭川地判平元.12.27)
    妻子ある経理担当の男性従業員と恋愛関係となった女性従業員(経理事務)を懲戒解雇した事案において,懲戒解雇を無効と判断した。
  • ●豊橋総合自動車学校事件(名古屋地決昭56.7.10)
    妻子ある従業員(40歳)が夫と死別し子を1人抱える女性教習生(34歳)と不倫関係となり懲戒解雇された事案において,企業内非行にあたるとしながらも懲戒解雇を無効と判断した。
  • ●学校法人白頭学院事件(大阪地判平9.8.29)
    妻子ある教職員が自ら指導する生徒の母親と不倫関係となり懲戒解雇された事案において,当該懲戒解雇を有効と判断した。

【民間データ】

  • 1位 戒告・譴責・注意処分(42.1%)
  • 2位 減給(19.3%)
  • 3位 出勤停止(18.7%)

【公務員データ】

  • データなし

5.5 社内で私的な理由から同僚に暴力を振るい,全治10日の傷を負わせた

【裁判例】

  • ●新星自動車事件(東京地判平11.3.26)
    従業員であるタクシー乗務員が,同僚と殴り合い(けんか)をし,傷害罪で送検されたことを理由に懲戒解雇された事案において,懲成解雇を有効と判断した。
  • ●日通名古屋製鉄作業事件(名古屋地判平3.7.22)
    従業員が,企業内での暴力行為を理由に譴責処分(作業長から副組長への降格処分を規定に基づき併科)をされた事案において,譴責・降格処分を有効と判断した。
  • ●日光陸運事件(名古屋地決平6.9.2)
    従業員が,同僚との暴行事件(けんか)を理由に懲戒解雇された事案において,懲戒解雇を無効と判断した。
  • ●日本周遊観光バス事件(大阪地判平8.9.30)
    観光バス運転手が,同僚との間で起こしたけんか等を理由に諭旨解雇がなされた事案において,諭旨解雇を無効と判断した。
  • ●エス・バイ・エル事件(東京地判平4.9.18)
    従業員が,部下から上司に対しての暴行等を理由に懲戒解雇された事案において,懲戒解雇を有効と判断した。
  • ●南海電気鉄道事件(大阪地堺支決平3.7.31)
    従業員が,助役に対して暴行を行ったことを理由に懲戒解雇された事案において,懲戒解雇を無効であると判断した。

【民間データ】

  • 1位 出勤停止(41.5%)
  • 2位 降格・諭旨解雇(31.6%)
  • 3位 懲戒解雇(29.8%)

【公務員データ】

  • 職場内暴行:停職又は減給

5.6 終業時間外に政治的・宗教的な勧誘活動を行い,再三の注意にも改めない

【裁判例】

【民間データ】

  • 1位 戒告・譴責・注意処分(35.3%)
  • 2位 出勤停止(27.6%)
  • 3位 減給(23.5%)

【公務員データ】

  • 職場内秩序を言動により乱す行為:減給又は戒告

5.7 部下に対してたびたび暴言を吐くなど,パワハラ行為を続けていたことが発覚した

【裁判例】

  • ●大和交通事件(大阪高判平11.6.29)
    タクシー乗務員である従業員が,違法なスト(ピケッテイング)を行い,違法なタクシーパレードを企画,指導,実行し,また,同僚に対して暴言を吐いて脅迫をし,タクシー乗務を断念させて営業を妨害したことを理由に懲戒解雇された事案において,懲戒解雇を有効と判断した。
  • ●医療法人南労会〔第一〕事件(大阪地決平5.9.27)
    従業員が,理事に対する暴言行為,事務長に対する誹諺中傷する内容の張り紙行為等を行ったことを理由に懲戒解雇された事案において,懲戒事由に該当するが出勤停止事由に該当するに過ぎないとして,懲戒解雇を無効と判断した。
  • ●グレイワールドワイド事件(東京地判平15.9.22)
    従業員が,就業時間中の私用メールによる上司への誹音中傷行為(「アホバカCEO」,「気遣いに刃物(権力)」等のメールを取引先や競業会社の従業員らを含む友人に送付したこと)等を行ったことを理由に普通解雇された事案において,普通解雇を無効と判断した。
  • ●日本電信電話〔大阪淡路支店〕事件(大阪地判平8.7.31)
    従業員が,職場内において,上司,同僚に対し,度重なる恐喝,脅迫,強要,いやがらせ電話(因縁をつけて金銭を要求する行為等,懲戒事由として列挙されている行為は10以上に及ぶ)の行為を行ったことを理由に諭旨解雇された事案において,諭旨解雇を有効と判断した。

【民間データ】

  • 1位 戒告・譴責・注意処分(46.8%)
  • 2位 降格(42.1%)
  • 3位 減給(38.0%)

【公務員データ】

  • 職場内秩序を言動により乱す行為:減給又は戒告

5.8 電子メールでわいせつな内容の文書を社内の複数の女性に送るなど,セクハラ行為が発覚した

【裁判例】

  • ●Y社〔セクハラ・懲戒解雇〕事件(東京地判平21.4.24)
    支店長が部下の女性に宴会の席で宴会での手を握ったり肩を抱くといたセクハラをしたことを理由に懲戒解雇をした事案において,懲戒解雇を無効と判断した。
  • ●X市事件(大阪地判平18.4.26)
    セクハラ行為を行ったとして減給処分(1ヶ月間10分の1)された市の保健センター所長代理が懲戒処分と異動命令の取消し等を求めた事案において,セクハラの事実を認めたが,悪質性の程度は直ちに懲戒事由に該当するとはいえないとして,懲戒処分を無効と判断した。
  • ●P大学〔セクハラ〕事件(大阪高判平24.2.28)
    教授が女性准教授を1対1の飲食に誘い,飲食中に教授が准教授の左太ももに手を置くことを複数回繰り返したり,年齢や婚姻の有無を尋ねられたり,帰りの地下鉄の車内で二の腕をつかまれたりしたことを理由に減給処分とした事案において,減給処分を有効と判断した。

【民間データ】

  • 1位 戒告・譴責・注意処分(42.1%)
  • 2位 減給(39.8%)
  • 3位 降格(38.6%)

【公務員データ】

  • わいせつな言辞等性的な言動(反復性なし):減給又は戒告
  • わいせつな電話,手紙,メール,身体的接触を繰り返した場合:停職又は減給(行為により被害者が精神疾患に罹患した場合は免職又は停職)

5.9 妊娠した部下に対し「育休をとるなんて迷惑だ」「子供がいる女性は仕事が出来ない」などと日常的に言っていた(マタハラ行為)

【裁判例】

  • データなし

【民間データ】

  • 1位 戒告・譴責・注意処分(51.8%)
  • 2位 減給(40.0%)
  • 3位 降格(37.1%)

【公務員データ】

  • 相手方の意に反する性的言動:減給又は戒告
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

SNSでもご購読できます。

コメント

コメントを残す

*