10分で理解!台風で会社を休業とする場合でも休業手当を払わない方法

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台風による休業

今年(2018年)も大型台風が日本各地を襲いました。台風に伴う集中豪雨により会社施設に支障が生じたり,公共交通機関が運休となる為,休業とした企業も多かったと思います。

このように台風で会社が休業となる場合,会社は社員に必ず休業手当を支払わなければならないのだろうか?

このようなことでお悩みの会社・社長も多いと思います。そこで,台風で会社が休業となる場合,休業手当の支給の必要性や実務対応について,労働問題専門の弁護士が分かりやすく解説します。

1 不可抗力により休業せざるを得ない場合

まず,不可抗力により休業せざるを得ない場合があります。

例えば,台風に伴う暴風雨や災害によって,

会社の事業場の施設・設備が直接的な被害を受け社員を休業させる場合

事業場の施設・設備は直接的な被害を受けていないが、取引先や鉄道・道路が被害を受け、原材料の仕入、製品の納入等が不可能となった場合

停電で業務を行うことが出来ない場合

などです。

この場合は,賃金や休業手当の支払いは不要です。

というのも,労基法26条の休業手当の支給要件である「使用者の責めに帰すべき事由」が存在しないと考えられるからです。また,民法536条2項の「債権者の責めに帰すべき事由」にも該当しないので,ノーワークノーペイの原則により賃金は発生しません。

2 不可抗力な事情は無い場合

次に,1のような台風による不可抗力な事情は発生していないが,会社の判断で休業とする場合です。

例えば,

① 公共交通機関の運行停止が予想され,一部の社員が帰宅困難となる可能性が高く,暴風雨により通勤に際して危険が伴う為,会社の判断で休業とする場合

② 接客業などの場合,台風により客足が遠のき大幅に売上が減少することが見込まれる為,会社の判断で休業とする場合

などがあります。

この場合は,労基法26条の休業手当の支給要件である「使用者の責めに帰すべき事由」が存在するといえ,少なくとも労基法26条の休業手当(平均賃金の100分の60以上の手当)の支払が必要となります。

また,②のように会社の営業上の都合で休業とする場合は,民法536条2項の「債権者の責めに帰すべき事由」による休業となり賃金100%の支払いが必要となると考えられます。

3 就業規則等で不可抗力の場合も含めて休業手当を支払う定めがある場合

労働契約や労働協約、就業規則に基づき、使用者の責に帰すべき休業のみならず、天災地変等の不可抗力による休業についても,休業中の時間についての賃金・手当等を支払うとの定めがあることとしている企業の場合は,その定めに従って賃金・手当の支払いが必要となります。

4 実務的な対応

以上を踏まえ,ありえる企業の実務上の対応の選択肢を検討してみます。

4.1休業手当をなるべく支払わない方法

(1) まず,前記1の台風により不可抗力な状況となる以外は,前記2の会社の判断による休業はしません

これによって,台風により不可抗力な状況とならない場合でも前記2の休業手当や賃金は発生しません

(2) 社員には以下の事項を速やかに通達します。

① 会社は休業しないが,各自の判断で安全に配慮して出社の有無や出社の方法を判断すること

② 欠勤した場合は,無給であること

③ 台風に伴う交通事情等により欠勤したとしても,懲戒等人事上のペナルティー(欠勤控除は除く)はないこと

④ 有給休暇を消化は自由であること

こうすることで,休業に伴う会社のコストを最小化し,出社の伴う安全性に一定の配慮しつつ,台風でも出社する社員と欠勤する社員の不公平感を無くすことが出来ます。また,実務的にはこのような対応をとる企業も多く存在します。

4.2 最も労働者に手厚い保護をする場合

(1) 前記1の台風により不可抗力な状況となる場合はもちろん,それ以外の場合も会社の判断で休業にします。

(2) この場合,上記3のとおり就業規則等で休業中の期間の賃金や手当を保障します。

この場合,不可抗力の有無にかかわらず,休業となった場合は賃金や手当の支払義務が発生します。

こうすることで,社員は台風による出社の危険に晒されず,出社の判断に迷うこともなく,経済的にも手当が保障され安心して休業することが可能です。

社員にとっては最も理想的な対応方法といえます。

ただ,このような選択肢を採用することが出来るのは一部の大企業や経済的なゆとりのある企業に限られるでしょう。また,全ての企業,特に中小企業でこのような制度をとらなければならない訳ではありません。上記4.1の方法も法的には採ることが可能ですので,企業の実情に応じて経営者にて判断をしてください。

4.3 法的に誤った対応

(1) まず,前記2の会社の判断による休業をした場合であっても無給とすること

これは,前記2のとおり最低でも労基法26条の休業手当の支払いは必要となりますので,法律違反となります。この場合,労働基準監督官の指導の対象となり,また,30万円以下の罰金を科せられます(労基法120条1号)

(2) また,前記2の会社の判断による休業をした場合であっても,会社の判断で一方的に有給を消化させること

これは,前記2のとおり最低でも労基法26条の休業手当の支払いは必要となるのに,一方的に有給を消化させることは,労基法26条違反となります。

5 まとめ

いかがでしょうか?

世の中では,台風で公共交通機関が麻痺した場合に休業させる場合は常に休業手当を支払うべきだ!という意見も多くあります。

もちろん社員に配慮して休業の措置をとり,その手当も保障してあげれば従業員も安心できますし,従業員の会社に対する信頼も得ることができます。企業の実情が許すのであれば,素晴らしい対応だと思います。

しかし,法律的には必ずしも休業手当の支払いが必要となる訳ではありません。

諸般の事情を勘案して,最終的には企業の社長の判断で決めて頂ければと思います。

ご参考になれば幸いです。

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>>地震や台風で休業する場合,必ず休業手当を支払う必要があるか? | 労働問題.COM 

 

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