クルーガーグループ事件(東京地方裁判所平成30年3月16日判決)

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固定残業代の有効性が争われた事案において,(ⅰ)みなし残業代の支給額が営業成績により減額されており、残業代だけでなく、営業手当としての趣旨も含まれていたと認められること、(ⅱ)支給額と残業時間数の対応関係が明確でないこと、(ⅲ)超過した残業代の精算が適切に行われていなかったことから,固定残業代は無効であると判断された例

1 事案の概要

本件は、Yに雇用されていたXが、Yに対し、時間外勤務手当等を請求した事案である。Yは,(1)Yは支店長であったので管理監督者であったこと,(2)Xにはみなし残業代として5万円が毎月支払われていたことを抗弁として主張した。

2 クルーガーグループ事件判例のポイント

2.1 結論

(1) 管理監督者性 否定

(2) みなし残業代の有効性 否定

2.2 理由

1 管理監督者該当性

①原告は、C支店の支店長であったが,その権限について,C支店の従業員のシフト表の作成、副主任以下の降格、C支店従業員の査定、C支店の営業成績の管理、外勤従業員の管理等、業務内容、権限及び責任の重要性は一定程度認められるが、他方で、同権限は従業員10乃至15名のC支店内に限られており、支店間の人事異動、部下である主任・統括マネージャーの人事権、採用等の権限があったとはいえず、さらに原告が参加を認められていた支店長会議が経営上の決定がなされるものではなかったことに照らすと、権限、責任は限定的なものであった
また、②所定始業時間に遅刻したときは、遅刻分が控除され、業務内容としても、毎日定時に会社にメールで報告する業務等が存在し、さらに、C支店長になった時期から残業時間が倍になっていること等に照らすと、原告は労働時間を管理されており、かつ労働時間の裁量性は低かったというべきである。
③C支店長になったことで、1か月あたり5万円程度の賃金の増加があったが、賃金台帳から1か月あたりの残業時間が約56時間増加していること等から、賃金等の待遇は管理監督者にふさわしいものとは認められない
以上、①乃至③より管理監督者に該当するとは認められない。

2 みなし残業手当について

みなし残業代が弁済としての効力を有するためには、労働契約における基本給等の定めにつき、①通常の労働時間の賃金に当たる部分とみなし残業代に当たる部分とを判別することができること(明確区分性)が必要であり、かつ、②みなし残業代に当たる部分がそれに対応する労働の対価としての実質を有すること(対価性)が必要と解される。
そして、(ⅰ)みなし残業代の支給額が営業成績により減額されており、残業代だけでなく、営業手当としての趣旨も含まれていたと認められること、(ⅱ)支給額と残業時間数の対応関係が明確でないこと、(ⅲ)超過した残業代の精算が適切に行われていなかったこと等から、明確区分性、対価性を有しない

3 クルーガーグループ事件の関連情報

3.1判決情報

裁判官:佐久間 隆

掲載誌:労働経済判例速報2357号3頁

3.2 関連裁判例

  • テックジャパン事件(最高裁一小判平24.3.8 労判1060号5頁)
  • アクティリンク事件(東京地判平24.8.24 労判1058号5頁)
  • ザ・ウインザー・ホテルズインターナショナル事件(札幌高判平24.10.19 労判1064号37頁)
  • イーライフ事件(東京地判平25.2.28 労判1074号47頁)
  • 泉レストラン事件(東京地判平26.8.26 労判1103号86頁)
  • マーケティングインフォメーションコミュニティ事件(東京高判平26.11.26 労判1110号46頁)

3.3 参考記事

固定残業代の有効性のポイント

4 クルーガーグループ事件の判例の具体的内容

→判決内容の詳細はこちら

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