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人員の削減(退職勧奨)

ご質問

人員削減の方法として,退職勧奨という方法があると聞きました。具体的にはどのような方法なのでしょうか?

回答

退職勧奨とは,使用者が労働者に対し,自発的な退職意思の形成を促すためになす説得などの行為のことをいいます。退職勧奨は使用者が自由に行うことができますが,退職勧奨を受ける側もそれに応ずるか否か自由に決定することが出来,退職勧奨に応ずる義務はありません。
もっとも,自由に退職勧奨をできるとしても,労働者が自由な意思決定を妨げられる態様の退職勧奨は許されず,説得の回数,説得のための手段・方法は社会通念上相当であることが求められ,その態様が強制的なものや執拗なものである場合には不法行為を構成し,使用者に損害賠償責任を生じさせることもあります。

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  • 「退職勧奨」は,単に退職するように勧めているに過ぎず,使用者が自由に行うことができますが,反面,労働者は退職勧奨に応じる義務はありません。
  • 懲戒解雇などを示唆しての退職勧奨は,仮に労働者が退職届を提出したとしても,事後的に「強迫」「錯誤」を理由に無効とされる危険があります。
  • 労働者が自由な意思決定を妨げられる態様の退職勧奨は許されず,説得の回数,説得のための手段・方法は社会通念上相当であることが求められます。

解説

1 退職勧奨とは

退職勧奨とは,使用者が労働者に対し,自発的な退職意思の形成を促すためになす説得などの行為のことをいいます。このような退職勧奨は,自由にすることができますが,退職勧奨を受ける側もそれに応ずるか否か自由に決定することが出来,退職勧奨に応ずる義務はありません。 もっとも,自由に退職勧奨をできるとしても,労働者が自由な意思決定を妨げられる態様の退職勧奨は許されず,説得の回数,説得のための手段・方法は社会通念上相当であることが求められ,その態様が強制的なものや執拗なものである場合には不法行為を構成し,使用者に損害賠償責任を生じさせることもあります。

2 退職勧奨の方法

① 勧奨する担当者は1人または2人とし,従業員の自由な意思を尊重できるような雰囲気で行う。
② 時間は20~30分間とし,就業時間中に行う。
③ 場所は会社施設とする(部屋には窓があるところなど開放的な場所を選択すべき)。自宅へ押しかけたり,電話するなどの行為は避ける。
④ 回数は, 2,3回程度を限度とする。

3 想定される労働者の対応

① きっぱり断る
労働者は退職勧奨に応じる義務はありません。退職の意思がない以上,きっぱりと断ることができます。
② 条件交渉
条件次第では辞めるという労働者も多いものです。労働者と条件面でのすりあわせができるかを検討します。
③ 退職勧奨を続けた場合,労働者が内容証明郵便等で勧奨・強要を止めるよう通告してくることがあります。
④ ①~③で退職についての話し合いが平行線となった場合でも,退職勧奨を止めない場合,労働者が退職勧奨の差し止めの仮処分申立や,損害賠償請求等の手段をとることがあります。

対応方法

1 まずは弁護士に相談!

労働問題に関し,貴社が採れる手段は,ケースバイケースに存在します。もっとも,従業員にとっても生活そのものに関わることになりますので,安易な措置はトラブルを生み,かえって貴社に混乱とコストの負担をかけることにもなりかねません。
まずは,なるべく早くご相談下さい。相談が早ければ早いほどとりうる手段は多いものです。
弁護士は,あなたのご事情を伺い,具体的対応策をあなたと一緒に検討し,最善の解決策をアドバイスします。
貴社のケースにおいて,具体的な対策として打つべき手は何か,証拠として押さえておくべきものは何か等をアドバイスします。

2 証拠の収集

法的措置に対応する場合はもちろん,交渉による解決を目指す場合も,証拠の確保が極めて重要になります。貴社にとって有利な証拠を出来るだけ確保して下さい。

3 労働者との交渉

まずは,法的措置に進む前に,労働者と交渉して,貴社の望む結果(残業代の減額等)が得られるようにします。
裁判に訴えられる前の交渉の時点で解決できれば,貴社にとっても次のようなメリットがあります。

①早期に解決できることにより,人的負担が回避できる。

法的手続に進んだ場合,労働者に関係する従業員(同僚・上司)はもちろん,経営者にも時間・労力・精神的負担を割くことを要求されます。この負担が日常業務に加わることで,かなりの負担感となります。交渉で解決することによりかかる人的負担が早期に回避できます。

②労働審判・訴訟等の法的手続に進んだ場合より解決金の水準が低い

一般に法的手続に進む場合に比べ,企業が支払う解決金の金額は低いものとなります。

4 裁判対応

労働者との間で交渉による解決が図れない場合は,労働者は自己の権利の実現を求めて裁判を起こす可能性が高いと言えます。具体的には,仮処分手続,労働審判手続,訴訟手続などがありますが,労働者が事案に応じて手続を選択して,自己の請求の実現を目指すことになります。貴社としては,かかる労働者の法的請求に適切に対応する必要があります。

労働問題.comの対応

1 経験豊富な弁護士に相談

労働問題は適用される法律が難解で事実関係が極めて複雑であり,また,貴社が採るべき対応策はケースバイケースで決めざるを得ません。貴社独自で調査の上でのご対応が,時に誤った方法であることも多分にございます。
そこで,まず,労働問題について豊富な経験実績を有する弁護士にご相談下さい。ご相談が早ければ早いほどとりうる手段は多いのが実際ですので,トラブルが少しでも生じましたら出来るだけ早期にご相談されることをお勧めいたします。
労働問題.COMでは,常に労働問題を専門的に取り扱う経験豊富な弁護士が直接対応させていただいております(原則的に代表弁護士である吉村が対応させて頂きます。)。裁判のリスクを踏まえながら,法律上の問題点を指摘しつつも,抽象的な法律論に終始することなく,貴社が採るべき具体的な対応策を助言いたします。早期のご相談により紛争を未然に防止することが出来た事例が多数ございます。また,その後の交渉・裁判対応においても有利な対応を取ることが出来ます。

2 継続的なご相談・コンサルティング

労使間のトラブルは一時的なものではなく,長期化することがしばしばあります。ケースバイケースに採るべき対応策や確保すべき証拠も異なりますし,時々刻々と状況が変わっていき,その都度適切な対応をとることが必要です。この対応が間違っていた為に,その後の交渉や法的措置の段階で不利な状況に立たされることもままあります。
労働問題.COMでは,経験豊富な弁護士が,継続的なご相談を受けコンサルティングを行います。初期の段階より貴社にとって有利な対応をアドバイスしていきます。それにより,その後の交渉・法的措置にとって有利な証拠を確保でき,適切な対応をとることで,万全の準備が出来ます。また,継続的に相談が出来ることにより安心して他の日常業務に専念していただくことができます。

3 貴社を代理して労働者(弁護士,労働組合)と交渉いたします。

労働者の対応は様々ですが,貴社へ要求を認めさせるために,様々な働きかけをする事が多いのが実情です。労働者が弁護士や労働組合を介して,会社に対し各種の請求を行い,交渉を求めることはよくあることです。弁護士や労働組合はこの種事案の交渉のプロですので,貴社独自で臨むことで,あらぬ言質や証拠をとられ,本来了承する必要のない要求まで認めさせられることもしばしばです。貴社独自でのご対応は,一般的には困難であることが多いといえます。
そこで,労働問題.COMでは,労使間の交渉対応に精通した弁護士が,貴社に代わって交渉の対応を致します。具体的には,貴社担当者から詳細なヒアリングを実施し,証拠の収集等の準備を行った上で,弁護士が法的根拠に基づいた通知書を出し,適切に交渉することで,貴社にとって有利な結論を,裁判を経ずに勝ち取ることも可能となります。

4 裁判対応

労働者が労働審判,仮処分,訴訟などの裁判を起こしてくる場合が近時急増しています。かかる裁判への対応は法律で訴訟代理権を独占する弁護士のみが対応することができます。
但し,労働問題を適切に対応することができるのは労働問題について豊富な経験実績を有する弁護士に他なりませんが,労働問題は極めて特殊専門領域であるため,経験実績がない又は乏しい弁護士が殆どである実情があります。
労働問題.COMでは,労働事件を専門分野とし,裁判対応の豊富な経験実績を有する弁護士が常時対応させていただいております。貴社に対し,最善の弁護活動をお約束いたします。

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参考裁判例

退職勧奨の方法が違法であり,不法行為を構成すると判断された例としては,①傷病により休職していた労働者が復職するに際し,上司5名が,約4か月間に,復職について30数回の「面談」「話し合い」を行い,その中に約8時間にわたるものもあり,面談において「能力がない」,「別の道があるだろう」,「寄生虫」,「他の乗務員のめいわく」等と述べ大声を出したり,机を叩いたりし,また,労働者が断っているにもかかわらず,同人の寮にまで赴き面談して退職勧奨した事案について,その頻度,面談時間の長さ,言動は,社会通念上許される範囲を超えているとして,慰謝料請求を認めた事例(全日本空輸事件・大阪地判平11.10.18・労判772.9,同事件・大阪高判平13.3.14・労判809.61),②管理職が連日,勤務時間内外にわたり執拗に希望退職届を出すよう強く要請し,希望退職期間経過後は,暴力行為や仕事差別などの嫌がらせによって退職を強要したことについて慰謝料請求を認めた事例(エール・フランス事件・東京高判平8.3.27・労判709.69),③2名の高校教諭に対し,うち1名については4か月の間に11回,もう1名については5か月の間に13回にわたり,1回20分から2時間強に及ぶ退職勧奨を行い,その間,退職するまで勧奨を続ける旨を繰り返し述べたり,退職しない限り,所属教員組合の要求に応じないとの態度を示したり,研究物等の提出を求めたりしたことについて不法行為による慰謝料請求を認めた事例(下関高校事件・最判昭55.7.10・労判345.20),夫婦でデザイナー業務に従事していた労働者に対し,2次にわたる退職勧奨をしたが,2次退職勧奨は,デザイン室の閉鎖を宣言し,デザイン室への発注を停止するものであり,仕事を取り上げてしまった事案について,「勧奨といいながら,デザイン室を閉鎖し,しかも,他への配転を検討することもなく,退職を勧奨することは,退職の強要ともいうべき行為であり,その手段自体が著しく不相当」として不法行為の成立を認めた事例(東光パッケージ[退職勧奨]事件・大阪地判平18.7.27・労判924.59)などがあります。

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