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解雇予告除外認定のやり方

会社が解雇を行う場合,労基法では,30日前に解雇の予告を行うか、又は,30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払うことが義務付けられています。
しかし,懲戒解雇を行う場合などの一定の場合には解雇予告が免除され(労基法20条1項),その為には,所轄労働基準監督署長の認定を得る必要があります。
ただ,実際にはどのような手続をとるべきなのか,添付書類として何が必要なのかについては分からないことが多いのではないでしょうか?
そこで,今回は解雇予告除外認定の手続きについて解説したいと思います。

1 解雇予告除外認定の手順の流れ

まずは,手続フローを掴んで頂いた方が分かりやすいでしょう。そこで,社員の重大な不正行為を理由に懲戒解雇を行う場合をモデルとして,まずは、解雇予告除外認定手続の全体の流れを見ていきましょう。

① 社員の不正行為・非違行為の発覚

社員が不正行為・非違行為を行っていたことが会社に発覚します。

② 会社による不正行為の事実調査・関係者からの事情聴取

懲戒事由に該当する事案が発生した場合,まずは事実認定を行います。
具体的には,不正社員に対して事情聴取を行い,「弁明書」や「経緯書」の提出を命じます。また,必要に応じて不正社員の自宅待機を命じます。
そして,不正を裏付ける客観的証拠の収集,関係者・目撃者からの事情聴取などを行い裏付けを進めます。

③ 懲戒解雇を行うことを社内で決定

社内調査による事実関係や社内の過去の処分事例を踏まえて懲戒解雇処分を決定します。
必要に応じて就業規則所定の懲戒委員会の審議などを行って決定します。
※この時点では社員に懲戒解雇を通告しません。

④ 懲戒事由が解雇予告除外認定の要件に該当するか否かを確認します。

④-1 除外認定の要件に該当しないと判断する場合

原則どおり解雇予告又は解雇予告手当を支払って社員を解雇します。

④-2 除外認定の要件に該当すると判断する場合

→⑤へ

⑤ 所轄の労働基準監督署に「解雇予告除外認定」を申請

解雇事由が、除外認定に当てはまる場合は,「解雇予告除外認定申請書」を作成します。
通常、経緯の詳細については別紙で作成し添付しますが、その際、本人に書かせた経緯書なども参考資料として添付します。

労基署の窓口で除外認定の要件に当てはまるかが確認され、当てはまらないと判断されて受理されないこともあります。

⑥ 労働基準監督署による調査

申請を受けて,直ちに労働基準監督署から社員へ事情聴取が実施されます。

⑥-1 社員が事実関係を認めている場合

→除外認定の要件に該当する限り除外認定を行います→⑦

⑥-2 社員が認めない場合

→社員が事実関係を否認し、争う姿勢を示している場合は,労基署は「解雇予告除外認定」を出しません。そのような場合、実務上は除外認定申請を取り下げ、原則どおり解雇予告又は解雇予告手当を支払って懲戒解雇するケースがほとんどです。

⑥-3 社員が調査に応じない場合

→この場合,会社から提出された「経緯の詳細」や本人が事実関係を認めていることが読み取れるもの(自筆の「経緯書」など),その他会社が提出した証拠資料から認定できる事実関係を総合的に判断したうえで「解雇予告除外認定」を出すかどうかの決定がなされます。

(除外認定を出す場合)

→⑦

(除外認定を出さない場合)

→原則どおり解雇予告又は解雇予告手当を支払って懲戒解雇する

⑦ 解雇予告除外認定の通知

「解雇予告除外認定」が労基署から決定通知されます。社員の事情聴取がすぐにでき、事実関係の確認が取れた場合は最短で1週間程度、社員との接触がなかなかできずに出頭要請などをしている場合は2~3週間程度で決定がなされます。

⑧ 懲戒解雇の通知

解雇予告等を経ずに社員に懲戒解雇を通告します。

3 解雇予告除外認定が受けられるケースとは?

では,どのような場合に解雇予告除外認定が受けられるのでしょうか?

その要件は大きくは

①天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合
②労働者の責に帰すべき事由がある場合

です。

以下,具体的に見ていきましょう。

3-1 ①天災事変その他やむを得ない事由のため事業の継続が不可能となった場合

これに当てはまるためには,「天災事変その他やむを得ない事由」の存在と、「事業の継続が不可能」であることの2点が必要です。

「天災事変その他やむを得ない事由」とは

天災事変や、それと同程度に不可抗力かつ突発的な事由であり、事業の経営者として必要な措置を講じても改善できない状況にある場合をいいます(昭和63年3月14日基発150号)。
事業場が火災で焼失した場合(事業主の故意又は重大な過失によらない)や、震災で事業場が倒壊、類焼した場合などが該当します。
一方、事業主が経済法令違反のため強制収容され、または購入した諸機械、資材等を没収された場合や、税金の滞納処分を受け、事業廃止に至った場合、事業経営の見通しを誤り、資材入手難、金融難に陥った場合などは、やむを得ない事由とは認められません。

「事業の継続が不可能となった場合」とは

事業の全部又は大部分が継続不可能になった場合をいいます。
たとえ火事にあったとしても、当該事業場の中心となる重要な建物、設備、機械等が焼失を免れ、何人かの労働者を解雇すれば、従来の操業が可能であったり、別の事業に転換できたりする場合や、または一時的に操業中止をせざるを得ないが近く再開復旧の見込みが明らかであるような場合は「事業の継続が不可能」とは認められません。

3-2 ②労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合

「労働者の責に帰すべき事由」とは、故意、過失又はこれと同視すべき事由であり、労働者の地位、職責、継続勤務年限、勤務状況等を考慮の上、労基法20条(解雇の予告)の保護を与える必要のない程度に、重大または悪質なものであり、30日前の解雇の予告をなさしめることが当該事由と比較して、均衡を失するようなものに限ります。

労基署では,就業規則などに規定されている懲戒解雇事由には拘束されず、次のような「認定基準」に基づいて判断がさされます。

【認定基準】
①極めて軽微なものを除き、事業場内における盗取、横領、傷害等刑法犯に該当する行為のあった場合
②賭博、風紀紊乱(びんらん)などにより職場規律を乱し、ほかの労働者に悪影響を及ぼす場合
③雇入れの際の採用条件の要素となるような経歴を詐称した場合
④他の会社へ転職した場合
⑤原則として2週間以上正当な理由なく欠勤し、出勤督促に応じない場合
⑥出勤不良または出欠常ならず、数回にわたって注意を受けても改めない場合

4 解雇予告除外認定の注意点

その他,以下の注意点をご確認ください。

4-1 解雇予告除外認定=正当な解雇ではない

まず,解雇予告除外認定は、あくまでも、労基署という行政機関が出す、「解雇予告」という手続を免除する認定でしかありません。
懲戒解雇が争われた場合,有効無効は最終的には裁判所で判定されます。裁判所は労働契約法第15条に基づいて懲戒解雇の有効無効を判定します。すなわち,解雇予告除外認定を受けたとしても、労働者は解雇無効を裁判所に訴えることができ、裁判所であらためて、その解雇理由の相当性が審理されることとなります。
よって,解雇予告除外認定は労基署が懲戒解雇を有効と認めているという意味ではありませんので、注意が必要です。

4-2 「労働者の責に帰すべき事由」は限定列挙

解雇予告除外認定は、予告期間をおくという労働者保護を必要としないほど契約解除に対して労働者の責に帰すべき事由がある場合と定義されていますが、その認定は3-2のとおり限定列挙の認定基準に則って行われます。

会社の就業規則上の懲戒解雇事由に該当するからとしても,上記認定基準に該当しない場合は,解雇予告除外認定は受けられませんので注意が必要です。

なお、前記のとおり「解雇予告除外認定」を取ることができなくても、30日前の予告、もしくは解雇予告手当の支払いを行い、会社の定める懲戒基準に沿って懲戒解雇を行うことは可能です。

4-3 解雇予告除外認定がされるまで労働者の解雇ができないわけではない

通常、解雇予告除外認定の申請をしてから認定がなされるまで1週間から3週間程度かかります。認定がなされるための要件として「双方当事者からの事実関係の確認」をし「認定事由に該当する事実があると労基署長が確信した場合」とありますので、社員が全面的に事実関係を否認している場合は、認定は下せないこととなります。
そういった場合、会社側としては、解雇予告除外認定を取ることには固執せずに、就業規則の規定に基づき、通常の解雇手続き(予告期間を設ける、もしくは予告手当を支払う)をとることができます。

労働問題.comの対応

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そこで,まず,労働問題について豊富な経験実績を有する弁護士にご相談下さい。ご相談が早ければ早いほどとりうる手段は多いのが実際ですので,トラブルが生じましたら出来るだけ早期にご相談されることをお勧めいたします。
労働問題.COMでは,常に労働問題について経験豊富な弁護士が直接対応させていただいております。裁判のリスクを踏まえながら,法律上の問題点を指摘しつつも,抽象的な法律論に終始することなく,貴社が採るべき具体的な対応策を助言いたします。早期のご相談により紛争が未然に防止することが出来た事例が多数ございます。

② 継続的なご相談・コンサルティング

労使間のトラブルは一時的なものではなく,長期化することがしばしばあります。ケースバイケースに採るべき対応策や確保すべき証拠も異なりますし,時々刻々と状況が変わっていき,その都度適切な対応をとることが必要です。この対応が間違っていた為に,その後の交渉や法的措置の段階で不利な状況に立たされることもままあります。
労働問題.COMでは,経験豊富な弁護士が,継続的なご相談を受けコンサルティングを行います。初期の段階より貴社にとって有利な対応をアドバイスしていきます。それにより,その後の交渉・法的措置にとって有利な証拠を確保でき,適切な対応をとることで,万全の準備が出来ます。また,継続的に相談が出来ることにより安心して他の日常業務に専念していただくことができます。

③ 貴社を代理して労働者(弁護士,労働組合)と交渉いたします。

労働者の対応は様々ですが,貴社へ要求を認めさせるために,様々な働きかけをする事が多いのが実情です。労働者が弁護士や労働組合を介して,会社に対し各種の請求を行い,交渉を求めることはよくあることです。弁護士や労働組合はこの種事案の交渉のプロですので,貴社独自で臨むことで,あらぬ言質や証拠をとられ,本来了承する必要のない要求まで認めさせられることもしばしばです。貴社独自でのご対応は,一般的には困難であることが多いといえます。
そこで,労働問題.COMでは,労使間の交渉対応に精通した弁護士が,貴社に代わって交渉の対応を致します。具体的には,貴社担当者から詳細なヒアリングを実施し,証拠の収集等の準備を行った上で,弁護士が法的根拠に基づいた通知書を出し,適切に交渉することで,貴社にとって有利な結論を,裁判を経ずに勝ち取ることも可能となります。

④ 裁判対応

労働者が労働審判,仮処分,訴訟などの裁判を起こしてくる場合が近時急増しています。かかる裁判への対応は法律で訴訟代理権を独占する弁護士のみが対応することができます。
但し,労働問題を適切に対応することができるのは労働問題について豊富な経験実績を有する弁護士に他なりませんが,労働問題は極めて特殊専門領域であるため,経験実績がない又は乏しい弁護士が殆どである実情があります。
労働問題.COMでは,労働事件を専門分野とし,裁判対応の豊富な経験実績を有する弁護士が常時対応させていただいております。貴社に対し,最善の弁護活動をお約束いたします。

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参考裁判例

労基法20条1項但書の「労働者の責めに帰すべき事由」について判断した事例

環境サービス事件

東京地判平成6.3.30労働判例649-6

(事案の概要)

Yは,給排水設備の維持管理等を業務とする会社であるところ,Yは,平成4年6月2日,期間を定めないで,Xを雇用した(以下,「本件雇用契約」という。)。
しかし,Yは,同年7月7日,Xに対し,経歴詐称を理由に,即時解雇する旨の意思表示をした(以下,「本件解雇」という。)。

(裁判所の判断)

裁判所は,被控訴人(筆者注:X)は,給排水工事に従事した経歴としては平成4年1月から3か月ロートルーターサービスという会社に勤務したことがあるだけで,右工事に関する経験,経歴は皆無とはいえないまでもきわめて乏しいものであったこと,被控訴人は,給排水工事についてあまり経験がなかったにもかかわらず,控訴人と本件雇用契約を締結するに際し,控訴人に対し,給排水工事について5年の経験がありどのような仕事でもできる旨虚偽の申告をし,これを信用した控訴人は被控訴人を経験者として就労させたが,被控訴人は仕事を十分にこなすことができなかったこと等を認定した。
その上で,「このように,被控訴人は,使用者たる控訴人において雇い入れをするかどうかあるいはどのような条件で雇用するかを決するための重要な判断証拠となる事項について虚偽の申告をし,これを信用した控訴人に被控訴人の労働条件の決定を誤らせたものであるが,このような事情は労基法20条1項但書の労働者の責に帰すべき事由に当たるというべきである。」と判示して,控訴人は,被控訴人に対し,本件解雇に当たり解雇予告手当を支払う義務を負わないと判断した。

(コメント)

なお,原審の簡易裁判所は,採用に際して知識・経験を誇張した事実があったとしても給与額が不当に高額に決められたとまでは言えず,また,通常の業務遂行に関して適格性を欠いたとまでは言えないとして即時解雇としての効力を認めませんでした。

タツミ保険サービス事件

大阪地判平成11.4.23労働経済判例速報1718-11

保険代理店の営業社員が,顧客の保険を無断で解約し,解約金を着服したり,競業する保険代理店を代理人とする保険契約を締結したことは,重大な背信行為であり,労基法20条1項但書の「労働者の責めに帰すべき事由」に基づく場合に該当すると判断した。

労基法20条違反の解雇の効力について判断した事例

細谷服装事件

最判昭和35.3.11判例時報218-6

(事案の概要)

Yは,洋服の製作修理を業とする者であるところ,Xは,昭和24年3月19日,Yに雇用され,以後,Yの一般庶務,帳簿記入等の業務に従事していた。
しかし,Yは,脱税のため二重帳簿の作成を命じたのにXがこれに応じなかったため,昭和24年8月4日,Xを即時解雇した。

(裁判所の判断)

裁判所は,「使用者が労働基準法20条所定の予告期間をおかず,または予告手当の支払をしないで労働者に解雇の通知をした場合,その通知は即時解雇としては効力を生じないが,使用者が即時解雇を固執する趣旨でない限り,通知後同条所定の30日の期間を経過するか,または通知の後に同条所定の予告手当の支払をしたときは,そのいずれかのときから解雇の効力を生ずるものと解すべきであって,本件解雇の通知は30日の期間経過と共に解雇の効力を生じたものとする原判決の判断は正当である。」とした。

即時解雇がなされた場合に,30日分の平均賃金の支払いをしたときに解雇の効力が生ずるとした事例

小松新聞舗事件

東京地判平成4.1.21労働判例600-14

(事案の概要)

Xは,昭和62年8月23日にYと労働契約を締結した。 しかし,Xは,Yの亀有南店において,同店の店長Aに対して暴力を働き,同人に対して約2週間の加療を要する頚椎捻挫の傷害を負わせたことが,Yの就業規則19条1号「法規にふれるなど,従業員として対面を汚した時」に該当するとして,同63年8月9日,Yより普通解雇された(以下,「本件解雇」という。)。

(裁判所の判断)

裁判所は,「(原告(筆者注:X)が)被告会社(筆者注:Y)の他店の店長に暴力をふるい加療約2週間を要する傷害をあたえたことは,被告会社の就業規則19条1号に該当するというべきであり,本件解雇が解雇権の濫用にあたることをうかがわせる事情は存在しない。また,被告会社は,労働基準法が定める30日の予告期間をおかず,解雇予告手当を提供することなく本件解雇の意思表示を行っているが,被告会社が即時解雇に固執しているものとは認められないから,本件解雇の意思表示から30日の期間が経過することによって解雇の効力が生ずるものと解すベきである。したがって,原告は本件解雇の意思表示から30日間の賃金を請求することができる(被告会社が原告の労務提供を受け入れない意思は明確であるから,原告の労務提供の有無にかかわらず原告は賃金を請求することができるというべきである。)が,それ以後の賃金を請求することはできないものといわなければならない。そして,本件解雇の意思表示から30日間の賃金の額としては平均賃金の30日分であると解するのが相当であ(る)」とした。

アクティ英会話スクール事件

大阪地判平成5.9.27労働判例646-55

(事案の概要)

Yは,英会話学校を経営しているが,米国人であるXは,平成3年4月19日,英会話の講師として,Yに雇用された。
しかし,Xは,同年7月4日,Yより即時解雇された。

(裁判所の判断)

裁判所は,「控訴人(筆者注:Y)は,(平成3年)7月4日,解雇予告手当の支払をしないで被控訴人(筆者注:X)を即時解雇した。しかし,控訴人が即時解雇に固執しているものとは認められないから,7月4日から30日の期間が経過することによって解雇の効力が生じたものというべきである。したがって,被控訴人は,7月5日以降30日分の平均賃金を請求することができるところ(前述のとおり,控訴人が被控訴人の労務の提供を受け入れない意思は明確であるから,労務提供の有無にかかわらず,被控訴人は賃金を請求することができると解すべきである。),右平均賃金の額は,被控訴人の賃金が月25万円であったこと・・に照らし,35万円であると認められ,他に右認定を覆すに足りる証拠はない。」とした。

使用者は,予告手当請求の訴訟提起後,予告手当を弁済した場合にも附加金支払義務を負担するとした事例

エビス文字盤製作所事件

横浜地判昭和43.6.12判例タイムズ226-133

(事案の概要)

Xが,Yの経営する製作所の労働者であったところ,Yが,Xを昭和42年3月25日予告期間をおかず即時解雇したが,右解雇の当時,Yは,Xに労働基準法20条に定める平均賃金の30日分に相当する24,457円の予告手当を支払わず,その後Yは,Xの請求により,3回にわたり右予告手当に相当する金員を支払った。
ことは当事者間に争いがない。

(裁判所の判断)

裁判所は,「そもそも本条の附加金制度は労働者の即時解雇に伴う使用者の解雇予告手当支払義務の不履行に対し労働者の請求により未払金額と同額の附加金の支払を裁判所が命令しうることとし,労働者に対しては訴訟によってでも権利を実行する誘い水となり,使用者側に対しては,義務の不履行を引き合わないものとして遵法を奨めてその給付の不履行の防止を図る労働基準法上の一種の公法的制裁たる性質を有するものである。ただ右附加金の支払義務発生時期は使用者が予告手当を支払わなかつた場合当然発生するものではなく,労働者の請求によって裁判所がその支払を命ずることによって初めて発生するものであり,使用者に(労基)法20条の違反があってもすでに予告手当に相当する金額の支払を完了し,(支払は訴提起前に完了していることを要するが)使用者の義務違反の状況が消滅した後においては,労働者は独立に附加金の支払だけを請求することができないものと解せられる。しかし本条の附加金制度が特定の金銭支払義務の不履行に対する公法的制裁であるとの前記趣旨に徴すれば,労働者が裁判所に訴の提起をするまでに使用者による予告手当の支払が完了すれば裁判所も附加金の支払を命じ得ないが,訴提起時より後に予告手当の支払が完了しても使用者は附加金の支払を免れえないものと解するのが当然である。けだし予告手当金を訴提起後でも裁判所が命令を発するまでに支払えば裁判所はその支払を命じえないと解すれば使用者は口頭弁論の最後の段階で予告手当の未払金を弁済することによって(労基)法114条の適用を免れてしまい,かくては本条は実質上空文化し,自発的に所定の支払をさせようとするその趣旨目的を達しえなくなるからである。そして・・裁判所が使用者に命じ得る附加金の額は訴提起の時の予告手当の未払額と同一と解するのを相当とする。」とした。

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