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吉村労働再生法律事務所

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退職届の効力はいつ発生するか?

ご質問

当社の社員で月給制(賃金締日は毎月末日)の正社員であるAがいます。今般,Aより唐突に退職届が提出されました。Aは,平成30年10月17日に同月31日での退職を届け出てきたのです。急な退職の申し出であることや,当社では終業規則上「退職は最低でも1ヶ月前に退職願を提出し,会社の承認を得なければならない」と定めていることから,退職日を10月30日とすることを承認しませんでした。この場合,退職の効力はいつの時点で発生するのでしょうか?

回答

民法では,2週間の予告期間をおけば、労働者は辞職することができることになっています(民法627条1項)。ただし、期間によって報酬を定めた場合(例えば月給制の場合)には、解約の申し入れは次期以降についてすることができ、当期の前半までに行わなければならないとされています(民法627条2項)。当期の前半に申し入れをした場合は次期以降に、当期の後半に申し入れをした場合は次々期以降に労働契約を終了させることができます(わかりにくいと思いますので,下記の図説をご参照ください。)。ご相談のケースでは,10月17日という賃金計算期間の後半に退職の申し出がなされているので,退職の効力は次々期の初日である平成30年12月1日に効力が発生します。もっとも,貴社が承認する場合は退職時期を早めることは出来ます。なお,上記民法による辞職の効力発生期間に関する定めを延長したり,使用者の承認を条件とすることは仮に就業規則に定めがあったとしても効力は有しないと考えられます。また,民法改正により2020年4月1日以降は期間によって報酬を定めている場合であっても2週間の予告期間により退職の効力が生じることになる点,ご注意ください。

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  • 2週間の予告期間をおけば辞職することができる(民法627条1項)
  • 期間によって報酬を定めた場合(例えば月給制の場合)には、解約の申し入れは次期以降についてすることができ、当期の前半までに行わなければならない(民法627条2項)
  • 民法による辞職の効力発生期間に関する定めを延長したり,使用者の承認を条件とすることは仮に就業規則に定めがあったとしても効力は有しない
  • 労使で退職合意をした場合は,合意した時期に退職の効力が発生する
  • 民法改正により2020年4月1日以降は期間によって報酬を定めている場合であっても2週間の予告期間により退職の効力が生じる

解説

1 辞職について法律が定めるルール

1.1 雇用期間の定めのない場合

2週間の予告期間をおけば、労働者は辞職することができます(民法627条1項)。この場合、辞職の申し入れの日から2週間が経過すれば雇用契約は終了することになります。ただし、期間によって報酬を定めた場合(例えば月給制の場合)には、解約の申し入れは次期以後についてすることができ、当期の前半までに行わなければならないとされています(民法627条2項)。当期の前半に申し入れをした場合は次期以後に、当期の後半に申し入れをした場合は次々期以後に労働契約を終了させることができます。

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1.2 雇用期間の定めのある場合(有期雇用契約)

労働者は「やむを得ない事由」がある場合でなければ、期間途中で辞職することはできません。また、やむを得ない事由がある場合でも、それが労働者の過失によって生じたもので、使用者に損害が生じた場合には、その損害を賠償する義務を負います(民法628条)。

ただし、契約期間の初日から1年を経過した後は、いつでも自由に辞職することができることが暫定的に認められています(労基法附則137条 この場合でも、民法627項により週間の予告期間が必要です)。

この規定は、従来有期雇用契約の最長期間は1年(例外3年)とされていましたが、2003年の法改正により契約期間の上限が3年(例外5年)に延長されたことを受けて暫定的に定められました。もっとも、この労基法の定めは、一定の事業の完了に必要な期間を定めた場合、専門的知識等を有する労働者および60歳以上の労働者との有期労働契約には適用されません。

2 民法627条の予告期間を超えて辞職を引き延ばすことはできない

急な退職による業務への支障を考慮して,「退職を希望する場合は遅くとも1カ月前に退職願を提出しなければならない」もしくは「会社の承認を得なければならない」などの定めを就業規則に定めている会社もみられます。また,このような定めが無くとも,退職者からの退職の申し出を拒絶することがあります。

しかし,民法627条は労働者の退職の自由(職業選択の自由 憲法22条1項)を保障する趣旨の(片面的)強行規定であり,これに反する就業規則等の規定や処理は無効となると解されています(土田道夫「労働契約法[2版]」632頁~有斐閣)。よって,民法627条について労働者に不利になる態様での辞職の予告期間を延長することは出来ないと解されます(※1反対説もあり)。

よって,「退職を希望する場合は遅くとも1カ月前に退職願を提出しなければならない」もしくは「会社の承認を得なければならない」などの定めがあり退職を拒絶したとしても,上記1の民法627条の予告期間を置けば辞職の効力は生ずることになります。

3 労働者が希望し会社が了承する場合は退職までの期間を短縮できる

労働者が民法627条の予告期間を置かずに退職することを希望し,使用者もそれを了承する場合は,退職の時期を短縮することが出来ます。

例えば,労働者が即日退職を希望した場合,会社が了承するのであれば即日退職の効果が発生します。

4 2020年4月1日以降について(改正民法)

平成29年5月26日に成立した民法の一部を改正する法律が,2020年4月1日に施行されます。改正後の民法は,627条1項は維持しつつ,労働者の辞職の自由を保護するとの考えから,同条2項・3項の適用を「使用者からの」解約申入れに限定し,労働者からの解約については,同条1項の規定に従って,2週間前に手続をとることによりいつでも可能であるとしています。

これにより2020年4月1日以降は期間によって報酬を定めている場合であっても2週間の予告期間により退職の効力が生ずることになります。

※1「民法の規定は,任意法規と解するのが一般的であり,労働契約や就業規則のうえで民法の規定と異なる定めをしておけば、その定めによることになり、右の「二週間」を特約により延長することも可能(厚生労働省監修『改定版・新労働法実務相談』九五頁)とし、これが極端に長い場合には、労働者の退職の自由が極度に制限されることとなり、民法第九〇条により無効となるが、労基法第二〇条とのバランスから一カ月までならば適法とする見解(下井隆史『労働基準法・第四版』 二〇一頁)もある」(安西愈「採用から退職までの法律知識[13訂版]」916頁~中央経済社)。

対応方法

1 事実関係及び証拠の確認

まずは,以下の事実及び証拠を確認する必要があります。

労働者の退職の意思表示

【証拠】
□ 退職届・退職願
□ メール
□ 口頭(録音,記録)

雇用契約の内容

【証拠】
□ 雇用契約書
□ 就業規則,賃金規程

労働者の退職時期に関する意思

【証拠】
□ 人事・上司の報告書

2 説得活動

突然の退職に対しては,最終的には上記のとおり法律の定めに沿った対応をせざるを得ませんが,説得することは可能です。退職時期について労働者を説得し,引き継ぎ等を十分なし得る時期での退職の同意を得るように努力します。

3 労働者との交渉

会社が労働者の退職を拒絶した場合,労働者は退職処理をするよう求めてきます。また,退職妨害をしたとして損害賠償を請求してくる場合もあります。この場合,法的措置に進む前に,労働者と交渉して,貴社の望む結果が得られるようにします。裁判に訴えられる前の交渉の時点で解決できれば,貴社にとっても早期解決のメリットがあります。

4 法的措置の裁判対応

労働者との間で交渉による解決が図れない場合は,労働者は自己の権利の実現を求めて裁判や労働組合に加入して団体交渉を求めてくる可能性があります。貴社としては,かかる労働者の法的請求に適切に対応する必要があります。

労働問題.comの対応

1 経験豊富な弁護士に相談

労働問題は適用される法律が難解で事実関係が極めて複雑であり,また,貴社が採るべき対応策はケースバイケースで決めざるを得ません。貴社独自で調査の上でのご対応が,時に誤った方法であることも多分にございます。
そこで,まず,労働問題について豊富な経験実績を有する弁護士にご相談下さい。ご相談が早ければ早いほどとりうる手段は多いのが実際ですので,トラブルが少しでも生じましたら出来るだけ早期にご相談されることをお勧めいたします。
労働問題.COMでは,常に労働問題を専門的に取り扱う経験豊富な弁護士が直接対応させていただいております(原則的に代表弁護士である吉村が対応させて頂きます。)。裁判のリスクを踏まえながら,法律上の問題点を指摘しつつも,抽象的な法律論に終始することなく,貴社が採るべき具体的な対応策を助言いたします。早期のご相談により紛争を未然に防止することが出来た事例が多数ございます。また、その後の交渉・裁判対応においても有利な対応を取ることが出来ます。

2 継続的なご相談・コンサルティング

労使間のトラブルは一時的なものではなく,長期化することがしばしばあります。ケースバイケースに採るべき対応策や確保すべき証拠も異なりますし,時々刻々と状況が変わっていき,その都度適切な対応をとることが必要です。この対応が間違っていた為に,その後の交渉や法的措置の段階で不利な状況に立たされることもままあります。
労働問題.COMでは,経験豊富な弁護士が,継続的なご相談を受けコンサルティングを行います。初期の段階より貴社にとって有利な対応をアドバイスしていきます。それにより,その後の交渉・法的措置にとって有利な証拠を確保でき,適切な対応をとることで,万全の準備が出来ます。また,継続的に相談が出来ることにより安心して他の日常業務に専念していただくことができます。

3 貴社を代理して労働者(弁護士,労働組合)と交渉いたします。

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4 裁判対応

労働者が労働審判,仮処分,訴訟などの裁判を起こしてくる場合が近時急増しています。かかる裁判への対応は法律で訴訟代理権を独占する弁護士のみが対応することができます。
但し,労働問題を適切に対応することができるのは労働問題について豊富な経験実績を有する弁護士に他なりませんが,労働問題は極めて特殊専門領域であるため,経験実績がない又は乏しい弁護士が殆どである実情があります。
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参考裁判例

6ケ月以前の退職願の届出・会社の許可を必要とする旨の就業規則の効力よりも民法627条の適用が優先された例

高野メリヤス事件

東京地判昭51.10.29労判264-35

(裁判所の判断)

裁判所は,「法は,労働者が労働契約から脱することを欲する場合にこれを制限する手段となりうるも のを極力排斥して労働者の解約の自由を保障しようとしているものとみられ,このような観点からみるときは,民法第627条の予告期間は,使用者のためにはこれを延長できないものと解するのが相当である。従って,変更された...規定 は,予告期間の点につき,民法第627条に抵触しない範囲でのみ有効だと解すべく,その限りでは,同条項は合理的なものとして,個々の労働者の同意の有無にかかわらず,適用を妨げられない」と判示した。

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