会社による解雇の方法・進め方【まとめ】

  • 2022年5月4日
  • 2022年6月13日
  • 解雇

社員(労働者)に問題が生じ雇用契約を継続していくことが困難な状況になった場合、会社は解雇を検討します。しかし,解雇は使用者による労働契約の一方的解消という性質上、労働者保護の観点から法律による厳しい規制がなされています。解雇の判断や進め方を誤った場合や手続にミスがあった場合などは、事後的に社員(労働者)より解雇無効の訴訟(労働審判)を起こされるリスクがあります。解雇が無効となった場合、会社は、過去に遡って賃金の支払いや慰謝料の支払いを余儀なくされる場合があります。 そこで、このようなリスクを回避するために、会社による解雇の行い方について、詳しく説明をまとめました。会社の経営者の方は是非参考にしてください。

目次

1解雇とは

1.1 解雇とは何か

解雇とは,使用者が労働契約を将来に向けて一方的に解約することをいいます。

労働契約の終了原因には、以下のようなものがありますが、解雇はそのうちの一つになります。

雇用契約の終了原因 内容
契約当事者の消滅 当然終了 労働者の死亡、使用者の死亡、法人の解散・清算による消滅など
一定の退職事由に該当 当然退職 休職期間満了、労働者の一定期間の行方不明
労使の個別合意 合意退職 労使の双方の合意による退職
労働者の一方的な労働契約の解消 辞職 労働者からの一方的な意思表示による
使用者の一方的な労働契約の解消 解雇 使用者からの一方的な意思表示による
契約期間満了 雇止め 有期雇用契約の場合に期間満了(更新しない)ことによる

1.2 解雇にはどのような種類があるか

解雇の種類は、まず大きく「懲戒解雇」と「普通解雇」の二つに分けられます。

懲戒解雇が秩序違反に対する制裁という懲戒処分の一種であるのに対して、普通解雇は、労働契約の義務履行の問題が生じた場合に行われるという点で異なります。

次に、普通解雇は、労働者側の契約違反を理由になされる「(狭義の)普通解雇」と、経営不振など使用者側の都合により行われる「整理解雇」に大別されます。

解雇 普通解雇 普通解雇 労働者側の労働契約の義務履行の問題が生じた場合に行われる
整理解雇 経営不振など使用者側の都合により行われる
懲戒解雇 秩序違反に対する制裁という懲戒処分の一種

普通解雇と懲戒解雇の違い

懲戒解雇は“懲戒処分の一種である”という点に、普通解雇との大きな違いがあります。

項目 普通解雇 懲戒解雇
就業規則に定めがなくてもできるか できる できない
就業規則の解雇事由 例示列挙 限定列挙
再就職を困難にさせる効力 一応ある かなりある
解雇有効性ハードル 高い かなり高い

普通解雇と整理解雇の違い

整理解雇は、企業財政の赤字や事業部門の縮小・廃止などを理由に、企業が経営上必要な人員削減を目的として行う解雇をいいます。

普通解雇が労働者側の事情に基づいて行われるのに対し、整理解雇は使用者の経営上の理由による解雇であるという点に大きな違いがあります。

なお、整理解雇の適法性は、①人員削減の必要性、②解雇回避努力の有無、③被解雇者選定の合理性、④労働組合等への説明・協議義務の4要素を総合考慮して判断されます(東洋酸素事件 東京高裁 昭54.10.29判決)。

2 解雇はどのような場合に有効となるか

会社が普通解雇を有効に行う為には,

解雇の有効要件

  1. 法律が定める解雇禁止に該当しないこと
  2. 客観的に合理的理由があること
  3. 解雇が社会通念上の相当性があること
  4. 就業規則及び労働協約の手続を経ていること

が必要となります。

参考記事

【経営者必見】普通解雇の4つの有効要件

2.1 ① 法律が定める解雇禁止に該当しないこと

法律で以下の場合に解雇をすることが禁止されており、これに違反する場合は解雇は当然に無効となります。

そこで、解雇する前にこれに解雇禁止の場合に該当するか否かをチェックする必要があります。

解雇禁止期間

  1. 業務上の傷病による休業期間およびその後の30日間の解雇禁止
  2. 産前産後の女性が労基法65条によって休業する期間およびその後30日間の解雇禁止

解雇理由による解雇禁止

  1. 女性労働者が婚姻したことを理由とする解雇禁止(男女雇用機会均等法9条2項)
  2. 女性労働者が妊娠、出産、労基法65条の産前産後の休業を請求・取得したこと等を理由とした解雇禁止(男女雇用機会均等法9条3項、同法施行規則2条の2)
  3. 性別を理由とする解雇禁止(男女雇用機会均等法6条4号)
  4. 育児・介護休業の申し出をしたこと、育児・介護休業をしたことを理由とする解雇禁止(育児・介護休業法10条、16条)。
  5. 労働者が労基法違反や労働安全衛生法違反の事実を労働基準監督署や労働基準監督官に申告したことを理由とする解雇禁止(労基法104条2項、安衛法97条2項)
  6. 労働者が都道府県労働局長に紛争解決の援助を求めたこと、またはあっせんを申請したことことを理由とする解雇禁止(個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律4条3項、5条2項)
  7. 労働者(男女を問わない)が性差別の禁止規定をめぐる紛争について都道府県労働局長に紛争解決の援助を求めたこと、調停を申請したことことを理由とする解雇禁止(男女雇用機会均等法17条2項、18条2項)
  8. 労働者が、育児・介護休業法に係る個別労働紛争に関し、都道府県労働局長に紛争解決の援助を求めたこと、又は調停を申請したことを理由とする解雇禁止(育児・介護休業法52条の4第2項、52条の5第2項)
  9. その他にもあります

法律による解雇禁止については

必ず事前チェック!法律で解雇が禁止される場合

2.2 ② 客観的に合理的な理由の存在

解雇権濫用法理とは

解雇は労働者に大きな打撃を与えるので、労働契約法16条では「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と定めています。

つまり、解雇が有効となるためには、

  1. 客観的に合理的理由があること
  2. 解雇が社会通念上の相当性があること

が必要であると法律が定めているのです。

この考え方は解雇権濫用法理と呼ばれます。

解雇権濫用法理は、解雇について大変厳しい規制であり、実質的には解雇に正当理由が必要であるということと同様の意味をもっています。

実務において解雇が争われる場合、解雇権濫用法理により解雇が濫用になるかどうかが主な争点になる場合が多いので、解雇をする場合には、あらかじめ解雇権濫用法理による解雇制限の問題は必ず検討
する必要があります。

①客観的に合理的な理由

客観的に合理的な理由とは、普通解雇を正当化するだけの合理性を有する理由を意味しますが、大きくは以下のとおり3つに類型化されます。

  1. 労務提供の不能・不完全履行や労働能力または適格性の欠如・喪失(債務不履行)
  2. 職場規律(企業秩序)の違反行為
  3. 経営上の必要性に基づく理由(整理解雇)

第1類型(債務不履行)の典型例

  • 病気・健康状態の悪化により業務に耐えられない場合
  • 職務遂行能力がない場合(能力不足)又は勤務成績不良で就業に適さない場合
  • 協調性がなく、他の従業員と円滑に仕事をすることができない
  • 遅刻、早退、無断欠勤が多いなど出勤不良であること(職務懈怠)

第2類型(職場規律違反)の典型例

  • 暴行・脅迫・誹謗
  • 業務妨害・秩序紊乱行為
  • 業務命令違反(配転命令違反等)
  • 不正行為(窃盗・横領、企業機密・情報漏洩等)

第3類型(経営上の理由)の典型例

  • 業績悪化に伴う人員削減(整理解雇)
  • 会社解散・清算に伴う解雇

各類型別の解雇理由については、4~6の類型別解雇理由の記事をご参照ください。

2.3 ②社会通念上の相当性

解雇権濫用規定(労働契約法16条)によれば、解雇につき「客観的に合理的な理由」が認められる場合であっても、当該解雇が「社会通念上相当として是認することができない場合」には、解雇権を濫用したものとして無効となります。

この「社会通念上相当」は、次のような場合に認められるとされています。

  1. 労働者の解雇事由が重大労働契約の履行に支障を生じさせ,または反復・継続的で是正の余地に乏しいこと
  2. 使用者が事前の注意・警告・指導等によって是正に努めていること
  3. 使用者が職種転換・配転・出向・休職等の軽度の措置によって解雇回避の努力をしていること(②③を解雇回避努力義務ともいいます)
  4. 労働者の能力・適性,職務内容,企業規模その他の事情を勘案して,使用者に解雇回避措置を期待することが客観的に見て困難な場合

つまり、就業規則の解雇事由に該当する場合であっても、「社会通念上の相当性」の要件によってさらに解雇できる場合が限定され、上記①~④のように解雇以外に選択肢がないという状況にならなければ解雇は有効とならないのです。

具体的な事案において,いかなる場合に社会通念上の相当性が認められるかは、法律上の明確な基準はありません

社会通念上の相当性については、最終的には、裁判官がケースバイケースで判断するため、余程明らかな場合以外は、一般的には予測することが非常に困難です。

もっとも、参考にするべきデータは存在します。それは過去の裁判例です。

普通解雇については裁判例が多数の集積されていますので、裁判例から裁判所の判断アルゴリズムを読み解いて、実際の事例に適用することで、解雇を有効に導くべく可能性を収束させていくことは可能です。

ケース別の相当性の判断基準については、4~6の解雇類型ごとにまとめた記事において記載しておりますので、そちらをご参照ください。

2.4 ④ 就業規則及び労働協約の手続

弁明の機会

事情聴取と共に,当該社員に対して弁明の機会を付与することがあります。

つまり、問題を起こした従業員に対し、解雇を行う前に言い分を述べるチャンスを与えるということです。

就業規則等で弁明の機会の付与手続が規定されている場合は、弁明の機会を与えずに解雇をすれば、些細なミスを除いて無効となります。

これに対し、就業規則等で規定されていない場合は、弁明の機会を与えることなく解雇をしたとしても、手続違反により直ちに無効になることはありません。

もっとも、解雇前に弁明を聴いておくことは,手続面において丁寧に対応したことを示すプラス事情であり,裁判において解雇の有効性を補強する事情となります。

また,従業員の弁明から得られた情報や証拠を踏まえることにより、より確実に有効な解雇を行うことができますし、無効な解雇を回避することもできます。

従って、就業規則等に定めがないとしても、原則として、解雇に弁明の機会を与えることがベターです。

労働組合や労働者代表との協議

就業規則や労働協約で、解雇を行う場合は、労働組合と協議を経て、あるいは組合の同意を得て、行う旨が定められている場合があります。

「組合員の解雇については労働組合と協議する(または労働組合の同意を要する)」旨の「解雇協議条項」または「解雇同意条項」が労働協約に定められている場合です。

このような解雇協議条項・同意条項がある場合は、それに従い協議した上で解雇を合意するか、または合意しない場合でも、誠意を尽して協議した結果でないと解雇はできません。これに違反した場合は解雇は無効となります。

ただし、労働組合の同意がなければ絶対に解雇できないものではなく、誠意を尽くし交渉しても話がまとまらない場合であれば、最終的に解雇が可能であることには留意する必要がある(池貝鉄工事件 最高裁一小 昭29.1.21判決)。

3 解雇はどのように行うか?

3.1 解雇の進め方・手続

解雇の進め方の概要は以下のとおりです。

① 解雇事由に該当する問題の発覚

従業員との雇用関係を解消する必要のある自体が発覚します。

② 事実調査

解雇事由に該当する可能性のある事案が発生した場合は,事実の調査を行います。

③ 解雇等の決定

調査により認定された事実に基づいて解雇の可否を決定します。

A 解雇が可能な場合は、そのまま解雇手続に進むか、リスク回避のために解雇をせずに退職勧奨による退職を目指します。

B-1 解雇が難しい場合でも退職させる必要がある場合は、退職勧奨による退職を目指します。

B-2 解雇が難しい場合で、雇用継続をする場合は、問題行為に対する注意・指導や人事異動を命じたり、規律違反があった場合は懲戒処分を行います。

④ 解雇手続の履践(③Aの場合)

就業規則や労働協約所定の手続き、弁明の機会の付与、解雇予告などの手続を履践します。

⑤ 解雇の実施

解雇を当該社員へ文書により通告します。

⑤ 解雇の公表

懲戒解雇の場合は、必要に応じて社内外に公表します。

⑥ 再発防止

特に懲戒解雇の場合は、懲戒処分を行っただけでは再度同じ不祥事が生ずる可能性があります。そこで,会社は再発防止の為に各種施策を講じます。

⑦ 解雇理由証明書の発行

労働者より請求があった場合は、解雇理由証明書を発行します。

3.2 解雇事由の調査はどのように行うか?

行うべき調査はケースバイケースで異なりますが,解雇が争われた場合の立証責任が会社にあることを念頭に慎重に行う必要があります。

具体的には,関係者からの事情聴取,行為者本人からの事情・弁明の聴取,客観的証拠による裏付けの有無等を総合考慮した上で事実を認定します。

解雇事由の調査方法の詳細は

すぐ分かる! 懲戒処分の調査のやり方

懲戒に関する事情聴取のポイント

3.3 就業規則や労働協約に定める手続き

就業規則や労働協約において、「組合員の解雇については労働組合と協議する(または労働組合の同意を要する)」旨の「解雇協議条項」または「解雇同意条項」が労働協約に定められている場合があります。

このような解雇協議条項・同意条項がある場合は、それに従い協議した上で解雇を合意するか、または合意しない場合でも、誠意を尽して協議する必要があります。

3.4 解雇前に弁明の機会は必ず与えないといけないか?

普通解雇や懲戒解雇のような重い処分をなす場合には,当該社員から弁明の聴取をする機会を設けるべきかどうかが問題となります。

まず,就業規則や労働協約に弁明の機械を与えることが明定されている場合には,それを怠った場合、手続違反を理由に解雇が無効となります。

就業規則や労働協約に特に弁明の機会の付与について定めがない場合は,法律上は弁明の機会を付与することは必須ではありません

しかし,特に解雇のような重い処分を行う場合には,慎重を期する意味で,できる限り弁明の機会は付与するべきです。

弁明の機会についての詳細・書式等は

【経営者必見】普通解雇の4つの有効要件 1.5.1 弁明の機会

3.5 解雇の可否は、どのように決定するか?

解雇事案が発生した場合,解雇の有効無効については、

法律上の解雇禁止に違反する場合に解雇が無効となることは明確になっていますが、

解雇権が濫用となって無効となるか否かについては、①客観的に合理的な理由、②社会通念上の相当性ということが定められているだけで、具体的な基準は明らかではありません。

特に、具体的な事案において,いかなる場合に②社会通念上の相当性が認められるかは、法律上の明確な基準はありません

社会通念上の相当性については、最終的には、裁判官がケースバイケースで判断するため、一般的には予測することが非常に困難です。

もっとも、参考にするべきデータは存在します。それは過去の裁判例です。

普通解雇については裁判例が多数の集積されていますので、いわば裁判所の判断アルゴリズムを読み解いて、実際の事例に適用することで、解雇を有効に導くべく可能性を収束させていくことは可能なのです。

ケース別の相当性の判断基準については、解雇事由ごとにまとめた記事において記載しておりますので、そちらをご参照ください。

3.6 解雇予告

使用者は、労働者を解雇しようとする場合、原則として、少なくとも30日前にその予告をしなければなりません(労働基準法20条1項)。

30日前に予告をしない場合は、原則として30日分の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければなりませんが、この予告日数は平均賃金を支払った日数分だけ短縮することができます(同条2項)。

ただし、「天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合」または「労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合」であれば、解雇予告または解雇予告手当の支払いは必要とされません(労基法20条1項ただし書き)。

もっとも、この2つの場合に解雇するためには、労働基準監督署の認定を受けなければなりません。使用者が労基法20条に違反して解雇予告しなかった場合、または予告手当を支払わずに解雇した場合、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられる(労基法119条1号)。

ただし、この場合であっても、使用者が即時解雇に固執する趣旨でない限り、①解雇通知後30日を経過するか、②解雇予告手当を支払うか――のいずれか早い時点から解雇の効力が生ずることになります(細谷服装事件 最高裁二小 昭35.3.11判決)。

解雇予告の参考記事は

経営者必見!解雇予告・解雇予告手当のポイント

10分でわかる!解雇予告除外認定のやり方【書式・ひな形あり】

3.7 解雇の告知はどのように行うか?

解雇の告知は,法律上は書面による必要はありません。

ただし,事後の無用な紛争を回避するため,解雇であることを明示して書面により通知しておくことが望ましいと孝えられます。なお,解雇通知を発する場合には,解雇理由と就業規則上の該当条項をできる限り包括的に記載しておくべきです。

解雇の告知方法は

経営者必見 すぐわかる解雇を通知する方法【書式・ひな形あり】

3.8 解雇理由証明書の発行を求められた場合、どう対応するか?

労働者が退職に際し、在職中の契約内容等について証明書を請求した場合、使用者は遅滞なくこれを交付しなければなりません(労基法22条1項)。

また、解雇予告がなされた日から退職の日までの間において、労働者が解雇理由の証明書を請求した場合も同様です(同条2項)。

このように、解雇に際して、労働者の求めに応じて使用者が発行する解雇の理由を記載した証明書が「解雇理由証明書」です。

解雇理由証明書は、労働者がその理由を確認し、解雇の有効性を争うか否かを判断できるようにすることに趣旨があります。そのため、使用者としては、紛争に発展することも念頭に網羅的かつ詳細な解雇理由証明書を作成・交付するべきです。

解雇理由証明書については

解雇理由証明書の作成上の注意点【書式・ひな形あり】

3.9 解雇理由を事後的に追加できるか?

普通解雇を行った場合、解雇理由を事後的に裁判の場で追加主張することは可能です。

もっとも、裁判官によっては、追加主張した解雇理由は、少なくとも解雇当時会社が重視していなかったと評価する傾向があり、追加した解雇理由だけで解雇を正当化することは一般的には難しいと思われます。

これに対して、懲戒解雇を行った場合は、会社側が懲戒当時認識していなかった非違行為は、特段の事情のない限り、事後的に裁判で追加主張することは出来ません。

解雇理由の追加については

解雇理由を裁判で事後的に追加主張できるか?

4 解雇理由: 第1類型(債務不履行、労働能力や適格性の欠如・喪失)

病気・健康状態の悪化により業務に耐えられない場合

従業員が傷病によって雇用契約で予定された業務をできなくなった場合は,雇用契約上の債務不履行となります。

ただし、客観的に合理的な理由といえるためには、病気・健康状態の悪化によって長期間にわたり会社の業務を行えない場合に限られます。

また、会社に私傷病休職制度がある場合は、そちらの制度の適用をすることが必要となります。

参考記事

病気で休んでいることを理由に解雇できるか?

職務遂行能力がない場合(能力不足)又は勤務成績不良で就業に適さない場合

労働者は労働契約に基づき、賃金に見合った適正な労働を提供する義務を負っています。

それゆえ、能力不足や勤務成績不良は労働義務の不完全履行とされ、解雇理由となり得ます。

もっとも、客観的に合理的な理由といえるためには、当該労働契約において求められる職務遂行能力の内容・程度を検討した上で、職務達成度が著しく低く職務遂行上の支障または使用者の業務遂行上の支障を発生させるなど、「雇用の継続を期待し難いほど重大な程度」に達していることを要します。

参考記事

能力不足を理由に解雇をする際の注意点

協調性がなく、他の従業員と円滑に仕事をすることができない場合

労働者が他の労働者と協調して業務を行わない場合には、他と協調して円滑に労務を提供するという債務を履行していないこと(不完全履行=債務不履行=解雇理由)になり、解雇理由となり得ます。

もっとも、客観的に合理的な理由といえるためには、同僚とのトラブルが絶えず円滑に業務を遂行できなかったり、上司に反抗したり、あるいは唯我独尊的な言動により会社の信用を傷つけた場合で、注意指導にも従わないような場合に限られます。

参考記事

協調性が無いと解雇できる?

遅刻、早退、無断欠勤が多いなど出勤不良である場合

欠勤はもとより,就業規則等で定められた始業時間から終業時間までの一部について労務を提供しないことになる遅刻・早退・私用外出は,雇用契約上の義務違反(債務不履行)であり,普通解雇事由となりえます。

もっとも、客観的に合理的な理由といえるためには、欠勤・遅刻・私用外出を頻繁に繰り返し,合理的な理由を述べないばかりか,反省の態度がなく,上司が是正するように注意しても,これを改めないような場合に限られます。

参考記事

勤怠不良で解雇できるか?

5 解雇理由:第2類型( 職場規律(企業秩序)の違反行為)

第2類型は職場規律(企業秩序)違反の行為であり、通常は懲戒処分(懲戒解雇)の対象にもなりえます。

懲戒解雇事由に該当する場合に、懲戒解雇とする代わりに普通解雇としたり、懲戒解雇と併せて予備的に普通解雇にすることは可能です。

事例別の懲戒処分のポイントは以下のとおりです(詳細は,各事案におけるリンクを参照してください。)

痴漢等で逮捕された場合

社員が痴漢等で逮捕された場合であっても必ずしも全ての事案で懲戒解雇・普通解雇をできるわけではありません

例えば,痴漢であっても,迷惑防止条例違反にとどまる場合は比較的軽い刑事処分(罰金など)になる場合が多く,初犯で反省もしており,勤務態度自体は真面目である場合などは,懲戒解雇・普通解雇をすることが無効となる可能性があります。

この場合は,出勤停止や降格などに留まる場合もあります。

これに対して,痴漢であっても強制わいせつ罪に該当する場合は,重い刑事罰が予定されており,懲戒解雇・普通解雇も許容される場合が有ります。

もっとくわしく

痴漢で逮捕された社員に対しいかなる懲戒処分ができるか?

社員が逮捕された!10分で分かる会社が知るべき7つの対応

セクハラをした場合

セクハラは,被害従業員に対して身体的又は精神的苦痛を与え,職場における具体的職務遂行能力を阻害し,企業秩序を乱す行為であることから,企業としても加害者に対して厳しい処分を行う必要があり,懲戒処分・普通解雇の対象となり得ます。

懲戒処分の量定を考えるにあたっては,社員のセクハラ行為が①刑法上の強制わいせつ等犯罪行為に該当するレベルなのか,②着衣の上からお尻を触るという民法上の不法行為(損害賠償)が生ずるレベルなのか,③①,②には該当しないが被害者の職務遂行能力や職場環境を阻害するレベルなのか,ということが1つの重要な基準となります。

①の犯罪行為レベルの場合強姦や強制わいせつに該当する犯罪行為を行った従業員に対する懲戒は,懲戒解雇・普通解雇を含む労働契約の解消しかありません。

②の不法行為レベルの場合,着衣の上から胸やでん部を触るといった行為は,初犯の場合には懲戒解雇や諭旨解雇することはできないと考えられ,普通解雇も一般的には難しいと考えられます。処分としては,降格(職位を外す)や出勤停止等の懲戒処分が相当といえます。もっとも,過去に同様の行為を行い,譴責・戒告等の懲戒処分を受けている場合は,事案によっては普通解雇できる可能性が高いと思われます。

③職場環境を阻害するレベルの場合は,譴責や減給,悪質な態様のものは降格等の懲戒処分とすることになります。管理職などの立場の場合は,職務適性がないとして普通解雇も許容される場合もありえます。また,それ以下のレベルのセクハラ行為者については,懲戒ではなく,まず注意・指導を与え,是正されない場合には譴責等の懲戒処分とすることが相当であると思われます。

もっとくわしく

セクハラ行為に対していかなる懲戒処分ができるか?

パワハラをした場合

パワハラは,被害従業員に対して身体的又は精神的苦痛を与え,職場における具体的職務遂行能力を阻害し,企業秩序を乱す行為であることから,企業としても加害者に対して厳しい処分を行う必要があり,懲戒処分・普通解雇の対象となり得ます。

懲戒処分の量定を考えるにあたっては,社員のパワハラ行為が①「殴る」「ものを投げつける」などの暴行・傷害など刑法上の犯罪行為に該当するレベルなのか,②嫌がらせ目的等による強い叱責に起因して精神障害を発症するなど民法上の不法行為(損害賠償)が生ずるレベルなのか,③①,②には該当しないが「故意に無視する」「悪口をいう」「嫌みをいう」「からかう」など職場環境を阻害するレベルなのか,ということが1つの重要な基準となります。

①「殴る」「ものを投げつける」などの暴行・傷害,「死ね」「殺すぞ」といった脅迫などに該当する犯罪行為を行った場合は,出勤停止、降格、諭旨解雇、懲戒解雇・普通解雇などの比較的重い処分を検討することになります。被害者に生じた結果や言動の悪質性等を考慮して最終的には処分を決定することになります。

②上司からの嫌がらせ目的等による強い叱責に起因して精神障害を発症するなど民法上の不法行為が成立する場合は,懲戒処分としては,いきなり懲戒解雇や諭旨解雇することはできないと考えられ,普通解雇も一般的には難しいと考えられます。そこで,処分としては,降格(職位を外す)や出勤停止等の懲戒処分が相当とされるケースが多いと思われます。もっとも,過去に同様の行為を行い,譴責・戒告等の懲戒処分を受けている場合は,事案によっては普通解雇・諭旨解雇できるケースもあると思われます。

職場環境を阻害するレベルのパワハラの場合は,譴責や減給,悪質な態様のものは降格等の懲戒処分とすることになります。管理職などの立場の場合は,職務適性がないとして普通解雇も許容される場合もありえます。
また,それ以下のレベルのパワハラ行為者については,懲戒ではなく,まず注意・指導を与え,是正されない場合には譴責等の懲戒処分とすることが相当であると思われます。

もっとくわしく

パワハラ行為に対していかなる懲戒処分ができるか?

他の社員を暴力・障害した場合

他人に暴行を加えることは,たとえ相手にけがをさせなくとも刑法208条の暴行罪(2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは過料)に,暴行によって怪我をさせた場合には同法204条の傷害罪(15年以下の懲役または50万円以下の罰金)に該当します。会社内で暴行・脅迫等の行為が行われると,従業員が暴力のもとに支配され,その恐怖を感じることとなり,職場秩序を乱すことは明らかです。

よって、暴行行為は懲戒事由・普通解雇事由に該当する行為であり,事案によっては懲戒解雇や諭旨解雇の事由・普通解雇事由に該当します。

懲戒処分の量定を考えるにあたっては,社員の行為が暴行罪にとどまる程度なのか,傷害罪にまで至る程度なのかということが1つの重要な基準となります。そして,暴行にとどまる範囲である場合には,懲戒解雇・普通解雇など労働契約の解消を前提とする懲戒処分を選択することは難しいといえます。これに対し、傷害に至る程度である場合には,行為の態様その他の事情にもよりますが,諭旨解雇や懲戒解雇・普通解雇を選択することも検討されます。

もっとも、傷害の程度が軽微で,加害者が謝罪をし,被害者もそれを受け入れているような場合には,懲戒解雇や諭旨解雇・普通解雇といった重い処分を課すことは困難であり,より軽い処分にとどめざるを得ない場合もあります。

もっとくわしく

会社内の暴行・傷害でいかなる懲戒ができるか?

経歴詐称をしていた場合

職歴や学歴、資格取得などを偽る経歴詐称は、労働者の適正配置や人事管理等に多大な支障を来す行為です。

また、労働契約の基盤である信頼関係を破壊するものでもあります。

そのため、経歴詐称については、懲戒解雇事由として規定されていることが一般的です。また、普通解雇事由にも該当しえます。

もっとも、いかなる経歴詐称もすべて懲戒解雇・普通解雇相当ということではなく、経歴詐称による解雇が有効とされるためには、「重要な経歴の詐称」に該当することが必要とされます。

「重要な経歴詐称」とは何かというと、一般論としては、(1)その経歴が当該労働者の採否に決定的な影響を与えること、すなわち、真実の経歴が申告されていれば、その労働者を採用することはなかった場合であって、しかも、(2)そのような事実があれば採用しないということに社会的な相当性があること(つまり,他の会社でも採用しなかったといえる場合)が要件だとされています。具体的には,採用面接時の着目度合い,その詐称の内容や本人の職務,入社後の状況などを踏まえて検討をすることになります。

もっとくわしく

経歴詐称でいかなる懲戒処分ができるか?

遅刻・無断欠勤を繰り返す場合

労働契約関係において,所定労働日に所定労働時間に過不足なく労務提供を提供することは,労働者の基本的な義務です。

それゆえ,所定労働日に無断で出勤せずに労務を提供しないこと(無断欠勤)や,所定労働時間に満たない労務提供しかしないこと(遅刻や早退)は,労働者としての基本的義務を怠ることに外ならず,重大な債務不履行になります。

そして,重大な債務不履行は普通解雇の対象となります。

のみならず,無断欠勤や遅刻等は,会社の人員配置にも影響を与え,企業秩序を乱す場合は懲戒処分の対象にもなり得ます。

もっとも,無断欠勤や遅刻があったとしても,懲戒解雇や諭旨解雇・普通解雇などの重い処分を行う場合は慎重な検討が必要です。

裁判例では,事前に注意・指導や戒告・譴責等の懲戒処分による警告を行った上でなければ,無断欠勤や遅刻があったとしても懲戒解雇や諭旨解雇・普通解雇を認めないとするものもあります。

そこで,無断欠勤や遅刻などの勤怠不良の場合は,懲戒解雇や諭旨解雇を行う前に,普通解雇を行う又は懲戒解雇や諭旨解雇より軽い懲戒処分に留めるという選択肢も検討した方がよいでしょう。懲戒解雇や諭旨解雇を選択する場合は,同時に,予備的普通解雇を行うこともお勧めします。

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無断欠勤,遅刻を理由にいかなる懲戒処分ができるか?

勤務時間外に私生活で飲酒運転をした場合

飲酒運転は,道路交通法上の酒気帯び運転または酒酔い運転の罪に問われ,懲役または罰金刑が科されることがあります。

また,人を死傷させた場合には,その程度に応じて,危険運転致死傷罪,自動車運転過失致死傷罪,業務上過失致死傷罪などの刑法上の罪に問われることになります。

ただし,勤務時間外の私生活上の飲酒運転は,マスコミ報道などにより会社の名誉・信用が失墜したとか,逮捕勾留等により長期間の欠勤により労務提供が出来なくなった場合以外には懲戒解雇・普通解雇等の重い処分を行うのは難しいと思われます。

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私生活で飲酒運転をした従業員に対していかなる懲戒処分(懲戒解雇)ができるか?

業務命令・指示に従わない場合

会社は業務全般について労働者に対して必要な指示命令を行う権限を有しています。

指示命令が有効である限り,それを正当な理由無く拒否する行為は懲戒事由・普通解雇事由に該当します。

懲戒処分の量定は,業務命令違反の頻度,業務上の支障・被害の程度,改善の見込みの有無などに応じて決定しますが,懲戒解雇・普通解雇などの重い処分をいきなり行うことは一般的には困難です。

懲戒解雇や諭旨解雇を行う前に,注意指導警告を繰り返し行った上で、普通解雇を行う又は懲戒解雇や諭旨解雇より軽い懲戒処分に留めるという選択肢も検討した方がよいでしょう。懲戒解雇や諭旨解雇を選択する場合は,同時に,予備的普通解雇を行うこともお勧めします。

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業務命令に違反した場合、いかなる懲戒処分ができるか?

残業や休日出勤を拒否する場合

会社は労働契約上,適正な手続(36協定など)を前提に,時間外労働・休日労働を命ずることが出来る場合,それを正当な理由無く拒否する労働者の行為は懲戒事由・普通解雇事由に該当します。

懲戒処分の量定は,残業・休日出勤命令違反の頻度,業務上の支障・被害の程度,改善の見込みの有無などに応じて決定しますが,懲戒解雇・普通解雇などの重い処分をいきなり行うことは一般的には困難です。

懲戒解雇や諭旨解雇を行う前に,注意指導警告を繰り返し行った上で、普通解雇を行う又は懲戒解雇や諭旨解雇より軽い懲戒処分に留めるという選択肢も検討した方がよいでしょう。懲戒解雇や諭旨解雇を選択する場合は,同時に,予備的普通解雇を行うこともお勧めします。

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残業や休日出勤を拒否した場合,いかなる懲戒処分ができるか?

異動・転勤命令に従わない場合

会社は労働契約上,異動・転勤・職種変更を命ずることが出来る場合,それを正当な理由無く拒否する労働者の行為は懲戒事由・普通解雇事由に該当します。

懲戒処分の量定は,異動・転勤・職種変更の拒否による業務上の支障の程度,改善の見込みの有無などに応じて決定しますが,懲戒解雇などの重い処分をいきなり行うことは一般的には困難です。

ただし,正当な理由なく拒否を続ける場合は,最終的には懲戒解雇・普通解雇を含む重い処分も可能です。

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転勤命令を拒否した場合、いかなる懲戒処分ができるか?

医師への受診命令を拒否する場合

就業規則等の根拠に基づいて受診を命ずる権限がある場合、その命令を正当な理由なく拒否することは,懲戒処分の対象となります。

懲戒処分としては,基本的には軽い処分(戒告、譴責、減給など)が相当となります。

まずは,口頭または書面による注意・指導を行い,それでも改善されなければ,譴責・戒告等の軽い懲戒処分を選択します。

それでも改善がなされず業務に支障が生じているという場合には,二度目の懲戒として減給処分を行い,それでも改善しなければ,出勤停止・降格などを経て,最終的には懲戒解雇ではなく、普通解雇を検討するべきでしょう。

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医師への受診命令を拒否したことを理由に懲戒処分ができるか?

情報漏洩を理由にいかなる懲戒処分

情報漏洩は秘密保持義務違反に該当する場合、懲戒処分の対象となります。

懲戒処分の量定は、故意・過失の有無、企業秘密の重要性,開示の目的,漏洩による会社の損害の有無・程度,企業運営への影響等を総合的に考慮して決定します。

故意で、企業にとって重要な情報を漏洩し、背信性が高いと認められる場合には,懲戒解雇も可能です。また、退職金の不支給も認められる場合もあります。情状により諭旨解雇又は普通解雇とすることもありえます。

他方で、過失の場合は、故意の情報漏洩と同様の懲戒処分(懲戒解雇・諭旨解雇等)を行うのは難しく、企業機密の内容、過失の程度、漏洩の有無、事後対応等によって戒告、減給、出勤停止、降格程度が相当な場合も多いと考えます。

それでも改善がなされず業務に支障が生じているという場合には,出勤停止・降格などを経て,最終的には懲戒解雇ではなく、普通解雇を検討するべきでしょう。

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情報漏洩を理由にいかなる懲戒処分ができるか

ブログ・SNSで会社の誹謗中傷・批判を行う場合

従業員が業務とは関係なくプライベートに行う表現行為であっても、会社の名誉や信用を毀損したり、損害を与えるものは懲戒処分の対象となります。

もっとも、公益を図る目的で、記載されていることが真実又は真実であると信ずるについて相当の理由がある場合は懲戒処分を行えない場合があります。

懲戒処分を行える場合の処分の量定は、①批判の内容(真実もしくは真実相当性),②批判の目的,③手段・態様の相当性などを考慮して決めますが、戒告・譴責、減給、出勤停止などにとどまる場合も多いのが実情です。

それでも改善がなされず業務に支障が生じているという場合には,出勤停止・降格などを経て,最終的には懲戒解雇ではなく、普通解雇を検討するべきでしょう。

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ブログやSNSによる会社批判・誹謗中傷を理由にいかなる懲戒処分ができるか

勤務時間中の私用メール、Webサイト閲覧した場合

就業時間中に,私用メールを送信したり,業務と関係のないウェブサイトを閲覧したりすることは,職務専念義務に違反し、懲戒処分・普通解雇の対象となります。

また、会社の施設や資産を私的に利用する施設・資産管理権侵害という意味でも懲戒処分・普通解雇の対象となります。

懲戒処分の量定は、① 頻度・回数・所要時間・勤務時間の内外、② 業務に与えた影響(特に不就労時間の範囲)、③ 私用メールや閲覧したサイトの内容、動機、④ 社内のける私用メール・サイト閲覧に対する禁止や周知の有無、⑤ これまでの注意・指導履歴などを考慮して決定しますが、常識の範囲内の短時間のメールやWEBサイトの閲覧であれば懲戒処分にはできません。あっても、軽度の懲戒処分(けん責や減給)とする場合が多いでしょう。

改善がなされず業務に支障が生じているという場合には,出勤停止・降格などを経て,最終的には懲戒解雇ではなく、普通解雇を検討するべきでしょう。

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私用メール、Webサイト閲覧を理由にいかなる懲戒処分ができるか?

内部告発をした場合

内部告発とは、企業外の第三者に対して,公益保護を目的に,企業内の不正行為を開示することをいいます。

内部告発は企業機密を漏洩し、又は、会社に対する誹謗中傷・批判を行うものですので、原則として懲戒処分・普通解雇の対象となります。

しかし、表現行為が公益通報者保護法の保護を受ける場合や表現活動が内部告発として正当な行為と認められる場合は懲戒処分・普通解雇はできません。

他方で、保護されない場合は、重要な企業秘密を漏洩するような場合は、懲戒解雇・普通解雇も可能だと考えます。

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内部告発を理由にいかなる懲戒処分ができるか

社内で窃盗をした場合

社員による窃盗罪(刑法235条)などの刑法上の犯罪行為は,会社の秩序を害する重大な行為であり,当然のことながら懲戒事由・普通解雇に該当します。

懲戒処分の量定は,金額が少ない場合であっても,懲戒解雇・普通解雇を含む重い処分が許容される場合が多いでしょう。

被害金額の回収も同時に問題になりますのでその点の配慮も必要となります。

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会社内の窃盗に対していかなる懲戒処分ができるか?

会社内で着服・横領に対した場合

横領行為は刑事犯罪に該当するほか、会社の秩序を直接侵害する極めて悪質な非違行為として懲戒処分・普通解雇の対象となります。

懲戒処分の量定は① 被害金額の大小、②犯行の悪質性(回数、期間、隠蔽工作)、③職務内容(社内資産・金銭の取り扱いの有無)などを要素により決定しますが、基本的に懲戒解雇を検討することがが基本となります。情状により普通解雇を選択することも可能です。

もっとも、横領が疑われるXが犯行を否認することもありますので、横領の有無について関係証拠から慎重に事実認定を行う必要があります。

懲戒解雇を争う裁判では、横領について確実に立証できない場合、懲戒解雇は無効とされる可能性があります。

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会社内の着服・横領に対していかなる懲戒処分ができるか?

通勤手当等の不正受給(詐取)をした場合

通勤手当の不正受給は、詐欺行為にほかならず、刑事犯罪に該当するほか、会社の秩序を直接侵害する極めて悪質な非違行為として懲戒処分・普通解雇の対象となります。

懲戒処分の量定は、① 被害金額の大小、②犯行の悪質性(回数、期間、隠蔽工作)、③故意・過失、④通勤手当に関する手続の周知、⑤会社のチェック体制、などを要素により決定します。

故意により、多数回かつ長期間にわたり手当を不正受給し、被害金額が高額な場合は、懲戒解雇・普通解雇の選択もありえます。

これに対し、過失で、被害金額も少ない場合は、懲戒解雇・普通解雇を選択することは難しく、情状により戒告・減給・出勤停止あたりの処分となることが多いと思います。

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通勤手当等の不正受給(詐取)に対していかなる懲戒処分ができるか?

経費の不正請求(詐取)をした場合

領収書の改ざんや水増し請求書などによる業務上の経費の不正請求は、詐欺行為にほかならず、刑事犯罪に該当するほか、会社の秩序を直接侵害する極めて悪質な非違行為として懲戒処分・普通解雇の対象となります。

そして、懲戒処分の量定は、① 被害金額の大小、②犯行の悪質性(回数、期間、隠蔽工作)、③故意・過失、④会社のチェック体制、などを要素により決定します。

故意により、経費を不正請求した場合は、被害金額が高額な場合は、懲戒解雇・普通解雇の選択もありえます。

これに対し、過失で、被害金額も少ない場合は、懲戒解雇を選択することは難しく、情状により戒告・減給・出勤停止あたりの処分となることが多いと思います。

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宿泊費など経費の不正請求(詐取)に対していかなる懲戒処分ができるか?

業務中の交通事故を起こした場合

業務中に交通事故を起こした場合、道路交通法などの刑事処分に処せられる場合があります。

また、事故の相手方の損害を生じさせた場合は、会社も使用者責任により損害賠償義務を負わされる場合があります。

従って、業務中の交通事故は懲戒事由・普通解雇事由に該当します。

懲戒処分の量定については、会社が旅客運送業や運送業務を中心とする事業を行っている場合は厳しくなる傾向があります。事故原因に、飲酒運転や重大な過失がある場合、事故の相手方を死亡させたり重大な傷害を負わせた場合などは、懲戒解雇・普通解雇を含む厳しい処分を検討することになります。他方で、過重労働の結果事故を起こしたような場合には、重い処分が認められない場合もあります。飲酒運転などなく、軽微な過失による物損事故の場合などは、戒告・減給・出勤停止などの処分にとどめる場合もあります。

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業務中の社有車での交通事故を起こした場合、いかなる懲戒処分ができるか?

社有車であおり運転をした場合

あおり運転の危険性・悪質性から、降格や出勤停止処分も相当な懲戒処分となり得ます。

懲戒処分の量定については、① 当該社員(労働者)が勤務する会社の業種(特にバス,タクシー等の旅客運送事業を営む会社であるか否か)、② 当該社員(労働者)が運転業務に従事する者か否か、③ 運転・事故の態様,過失の程度、④ 事故後の対応(措置義務を尽くしたか)、被害者がいる場合は示談の成否、⑤ 当該運転により生じた結果の重大性(物損や人身事故となった場合は被害の程度等)、⑥ 事案がテレビ・新開等のメディアで報道されたか、⑦ 安全運転に関する教育・指導は徹底されていたか、⑧ 反省の有無や程度などを考慮して決めます。

旅客運送業のドライバーの場合は、物損人損の有無を問わずに懲戒解雇・諭旨解雇・普通解雇も可能な場合もあります。

それ以外の業種でも、重い人身事故で結果が重大(死亡・重傷)の場合は、懲戒解雇・諭旨解雇も可能です。物損にとどまった場合もで出勤停止以上が相当でしょう。

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社有車であおり運転をした従業員に対していかなる懲戒処分(解雇)ができるか?

社員が不倫をした場合

不倫は,基本的には業務とは無関係の私生活上の行為です。

従って,職場環境の特殊性により,男女関係を厳しく律する必要性があるなどの特別な事情がない限り懲戒処分・普通解雇の対象とすることは難しいです。

注意しても態度を改めず、職場環境が悪化して業務上の支障を生じさせている場合には懲戒処分の対象とすることもありますが、戒告・けん責といった軽い処分で済ますケースが多いと考えます。普通解雇も一般的には難しいと考えられます。

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不倫をした社員に対しいかなる懲戒処分ができるか?

借金・給与差押・自己破産(個人再生)

借金は,基本的には業務とは無関係の私生活上の行為です。従って,借金をしたこと、借金の取り立ての電話が会社に来たこと、給与が差し押さえられたこと、自己破産をしたことなどを理由に懲戒処分を行うことはできません。普通解雇も通常はできません。

借金苦に派生して別の問題(仕事が疎かになる、会社備品を着服するなど)を起こすことがありますので、別の原因で懲戒処分の対象とすることもありますので、周辺事情も調査してみてください。

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借金・給与差押・自己破産(個人再生)をした社員に対しいかなる懲戒処分ができるか?

無許可で兼業・兼職をしていた場合

勤務時間外かつ企業外の時間は、労働者のプライベートの範囲内ですので、その時間帯に副業・兼業をすることは本来自由です。

そゆゆえ、勤務時間外かつ企業外の時間も含めて全面的に副業・兼業を禁止して懲戒処分の対象とすることはできません。

もっとも、① 競業、情報漏洩のリスクがある場合② 本業の社会的信用を害するリスクがある場合③ 本業への支障や労働者の健康に問題を生じるリスクがある場合については、副業・兼業を禁止することも合理性があるとして認められます。

禁止に違反した場合の懲戒処分の量定は、会社に与えた業務上の支障に応じて決めますが、支障が小さい場合は戒告・けん責程度に、支障が多少あっても減給程度にとどまります。懲戒解雇や普通解雇は、情報漏洩を伴い場合や勤務時間中の競業など悪質な場合以外は難しいです。

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無許可の副業・兼職を理由にいかなる懲戒処分ができるか

監督責任を果たさなかった上司

上司が部下に対する監督義務を怠った場合は懲戒処分の対象となります。

ただし、監督義務違反がなかった場合に部下の非違行為に対する結果責任を負わせることはできません。

懲戒処分の量定については、上司が部下の不正を知っていたにもかかわらずこれを黙認したり、隠ぺい工作に加担したような場合は、上司についても懲戒解雇・普通解雇などの厳しい処分を行うことが可能です。

このような関与がない場合は、不正の内容・程度、監督義務違反の有無・程度、会社の損害、他の者に対する処分との比較等に照らして、処分内容を検討することになります。

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監督責任を果たさなかった上司に対していかなる懲戒処分ができるか

6 解雇理由 第3類型(経営上の必要性に基づく理由(整理解雇))

整理解雇

以上の①及び②の解雇理由は、労働者側の事情(能力不足、勤怠不良、職場規律(企業秩序)違反など)を理由としたものでした。

これに対して、経営上の必要性に基づく理由による解雇は使用者側の事情による解雇になります。

それゆえ、労働者側の落ち度とは関係なく、会社の都合による解雇ですので、解雇権濫用法理の適用においてより厳しく判断すべきものと考えられています。

整理解雇は,次の4つの要素から判断がなされます。

  1. 人員削減の必要性が存在すること(人員削減の必要性)
  2. 解雇を回避するための努力が尽くされたこと(解雇回避努力)
  3. 解雇される者の選定基準及び選定が合理的であること(被解雇者選定の合理性)
  4. 事前に,説明・協力義務を尽くしたこと(解雇手続の妥当性)

本稿では整理解雇を除く普通解雇の有効性を中心に説明をいたしますので、詳細は以下の記事をご参照ください。

参考記事

整理解雇とは?

事業所の閉鎖に伴う解雇

会社が複数の事業所を有していた際、一部の事業所を業績不振等を理由に閉鎖する場合があります。

事業所の閉鎖は経営判断として会社の裁量で決定できます。

もっとも、閉鎖する事業所に勤務していた従業員を直ちに解雇することはできません。

事業所を閉鎖する場合は、異動などによって雇用を維持することを検討した上で人員削減の必要がある場合は整理解雇をすることになります。

整理解雇の人選は閉鎖する事業所を優先するのではなく、会社全体の人員から選出する必要がある。

もっとも、閉鎖事業所の社員を異動させる場合にコストが過剰に発生する場合等には閉鎖事業所の社員を優先することも許される場合もあります。

実務的には、整理解雇を行う前に,退職金の上乗せを行うなどして退職勧奨を行い、合意により退職してもらうようにします。

詳しい参考記事

事業所(支店・工場)の閉鎖を理由に解雇できるか?

会社の清算・解散に伴う解雇

整理解雇や事業所の閉鎖と異なり、会社自体を解散・清算する場合の解雇は、整理解雇の法理は適用されません。

解散による企業廃止を理由とした普通解雇は、通常は、「客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当として是認できる場合」にあたると考えられます。

整理解雇の法理が適用されませんので、大幅に解雇のハードルは下がります。

もっとも、解散による解雇が社会通念上相当であるためには、解散のいきさつ、解雇せざるをえない事情、解雇の条件などは従業員に対し説明するなどの手続的な配慮が求められます

また、組合を嫌悪して解散するような場合や、組合潰しのために偽装解散する場合は、解雇が無効となる場合があるので注意が必要です。

詳しい参考記事は

会社解散・清算と従業員の解雇

解雇が無効になった場合

参考記事

無効な解雇で敗訴した場合、会社が支払う賠償額【ベスト3】

雇用契約上の地位の確認

解雇が無効であった場合は、解雇後も労働者は使用者との間で雇用契約上の地位が継続していることになります。

裁判で解雇が無効であると判断された場合は、雇用契約上の地位を確認する確認判決が言い渡されます。

賃金(バックペイ)の支払い義務

解雇後も従前と同様の雇用条件で労働契約が継続することになります。つまり,雇用契約が継続しているものの,会社が解雇をしたので,労働者が出勤できない状態が続いていたことになります。

解雇期間中の賃金については,労働者は勤務をしないとしても,それは会社が無効な解雇により出勤を拒んでいたことが原因ですので,解雇されなければ得られるはずの賃金は発生していたことになります(民法536条2項)。

この解雇期間中に支払われなかった賃金で,解雇時点に遡って支払うべき賃金は,「バックペイ」(back pay : 遡求的給与)と呼ばれています。

解雇が無効と判定された場合は,このバックペイを支払う必要があります。

解雇を行ってから、会社側敗訴の判決が確定するまでは、(控訴審で敗訴が確定することを想定すると)、通常は2年程度は時間がかかります。

その解雇後の期間である2年分の賃金を支払う義務が生じ、裁判でも2年分の賃金相当額の支払いを命じられることになります

慰謝料の支払い

解雇された労働者が、解雇無効を主張して裁判を起こした場合、地位確認やバックペイの請求のほか、慰謝料を請求する事例は多くあります。

解雇が無効になったからといって直ちに慰謝料の支払いが命じられる訳ではありませんが、解雇の態様が悪質な場合は、慰謝料が認められる場合があります。

慰謝料の金額としては、バックペイのほかに50万円~100万円の範囲で判決で命じられる場合が多いです。

退職に代わる解決金の支払い

使用者が判決を受け入れて、当該労働者を復職させる場合、復職後は従前どおりの賃金を支払う必要があります。つまり職場に戻した上で、月給30万円の支払いをしていく必要があります。

しかし、解雇無効の判決が出されても、いったん解雇した労働者の復職を受け入れ難いという使用者も多いのが実情です。

その場合は、労働者と退職を前提とした和解をせざるを得ません。つまり、解雇はできないので、カネを払って辞めてもらわなければならないのです。

この場合、交渉カードは基本的には労働者が持っています。解決金・和解金は、退職に見合う経済的代償として、年収の1~2年分を要求される場合もあります。どうしても労働者に辞めてもらいたい場合は、この要求に応じざるを得ません。

解雇は労務専門の弁護士への相談するべき

弁護士に事前に相談することの重要性

解雇は使用者による労働契約の一方的解消という性質上、労働者保護の観点から法律による厳しい規制がなされています。

解雇の判断や進め方を誤った場合や手続にミスがあった場合などは、事後的に社員(労働者)より解雇無効の訴訟(労働審判)を起こされるリスクがあります。

解雇が無効となった場合、会社は、過去に遡って賃金の支払いや慰謝料の支払いを余儀なくされる場合があります。

そこで、このようなリスクを回避するために、当サイトでは実践的なコンテンツを提供しています。

しかし、実際には、教科書どおりに解決できる例は希であり、ケースバイケースで法的リスクを把握・判断・対応する必要があります。

法的リスクの正確な見立ては専門的経験及び知識が必要であり、企業の自己判断には高いリスク(代償)がつきまといます。

また、誤った懲戒処分を行った後では、弁護士に相談しても過去に遡って適正化できないことも多くあります。

リスクを回避して適切な懲戒処分を行うためには労務専門の弁護士事前に相談することとお勧めします

労務専門の吉村労働再生法律事務所が提供するサポート

当事務所は、労務専門の事務所として解雇・懲戒処分に関しお困りの企業様へ以下のようなサポートを提供してます。お気軽にお問い合わせください。

労務専門法律相談

懲戒処分に関して専門弁護士に相談することが出来ます。法的なリスクへの基本的な対処法などを解決することができます。

詳しくは

サポート内容及び弁護士費用 の「3 労務専相談」をご参照ください。

懲戒処分のコンサルティング

解雇・懲戒処分は限られた時間の中で適正に行う必要があります。進めていくなかで生じた問題に対して適時適切な対応が要求されますので単発の法律相談では十分な解決ができないこともあります。
解雇・懲戒処分のコンサルティングにより、解雇・懲戒処分の準備から実行に至るまで、労務専門弁護士に継続的かつタイムリーに相談しアドバイスを受けながら適正な対応ができます。
また、弁明聴取書、解雇・懲戒処分通知書・理由書などの文書作成のサポートを受けることができます。
これにより解雇・懲戒処分にかかる企業の負担及びリスクを圧倒的に低減させる効果を得ることができます。

詳しくは

サポート内容及び弁護士費用 の「4 コンサルティング」をご参照ください。

労務専門顧問契約

解雇・懲戒処分のみならず人事労務は企業法務のリスクの大半を占めます。
継続的に労務専門の弁護士の就業規則のチェックや問題社員に対する対応についてのアドバイスを受けながら社内の人事労務体制を強固なものとすることが出来ます。
発生した解雇・懲戒処分についても、解雇・懲戒処分の準備から実行に至るまで、労務専門弁護士に継続的かつタイムリーに相談しアドバイスを受けながら適正な対応ができます。
また、弁明聴取書、解雇・懲戒処分通知書・解雇理由証明書などの文書作成のサポートを受けることができます。
これにより懲戒処分にかかる企業の負担及びリスクを圧倒的に低減させる効果を得ることができます。

詳しくは

労務専門弁護士の顧問契約 をご参照ください。

 

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