経営危機を乗り切るための賃金カット

社長
当社は長らく続いた不況の影響により業績不振に陥っています。経費削減等の策は講じていますが,それでも経営難は改善することはなく,最終手段としてやむを得ず従業員の賃金を切り下げようと考えています。賃金の切り下げは可能でしょうか?
弁護士吉村雄二郎
原則として,労働者の不利益となるような賃金の切り下げ等の労働契約変更は,労働者の同意なくしてできません。賃金の切り下げを行う際には,真摯に説得活動を行い労働者の同意を得ることが必要です。
労働者の同意を得られず,就業規則を変更して賃金の切り下げを行った場合,通常ですと就業規則の不利益変更は無効になってしまいますが,会社の経営状況を鑑みて高度の必要性が見られ,それが労働者の被る不利益を上回る場合には賃金の切り下げが認められるという最高裁判例があります。また,賃金の切り下げに関して過半数以上の労働組合との労働協約を締結することができた場合には,その協約と同様の就業規則の規定に変更すれば,賃金切り下げの合理性を担保することができます。

労働条件の不利益変更を行うには,原則として,個々の労働者の同意が必要です。
賃金切り下げを行うには,会社の経営状況を鑑みて高度の必要性が認められ,それが労働者の不利益を上回ることが必要です。

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