2021年3月に公刊された判例雑誌(労判、判タ、労経速、判時、労判ジャーナル)から労働裁判例の目次を整理しました。
労働判例 2021年3月1日号 No.1234
福屋不動産販売事件 大阪地裁(令和2年8月6日)判決
同業他社への転職勧誘行為等を理由とする懲戒解雇の有効性等(2名に対する懲戒解雇は適法,1名に対する懲戒解雇は無効)
高知県公立大学法人(第2)事件 高知地裁(令和2年3月17日)判決
特定プロジェクト従事者の雇止めの適法性と無期転換の成否(雇止めは無効,無期転換の成立を認容)
学校法人関西外国語大学事件 大阪地裁(令和2年1月29日)判決
担当コマ数増を拒否した教員への懲戒処分の有効性等(懲戒処分は適法)
労働判例 2021年3月15日号 No.1235
地公災基金熊本県支部長(市立小学校教諭)事件〈付 原審〉 福岡高裁(令和2年9月25日)判決,熊本地裁(令和2年1月27日)判決
教員の脳幹部出血の公務起因性と自宅作業・部活引率の負荷(公務起因性を認容)
社会福祉法人恩賜財団母子愛育会事件〈付 原審〉 東京高裁(令和元年12月24日)判決,東京地裁(平成31年2月8日)判決
医師の固定残業代の適法性と付加金請求の可否等(固定残業代は適法,付加金請求は棄却)
地方独立行政法人長崎市立病院機構事件 長崎地裁(令和元年5月27日)判決
医師の長時間労働による死亡と損害賠償・割増賃金等請求(請求容認)
アルパイン事件 東京地裁(令和元年5月21日)判決
定年後再雇用における従前と同じ職務内容を条件とする労働契約の成否(請求棄却)
判例タイムズ 1481号 4月号 (2021年3月25日発売)
大阪地裁(令和2年7月20日)決定
使用者が,性同一性障害の労働者(生物学的性別が男性,性自認が女性)に対し,化粧を施して業務に従事していることを理由に就労を拒否したことが,使用者の責めに帰すべき労務提供の不能にあたると判断された事例
東京地裁(令和元年7月24日)判決
1 ホテルの設備総合管理業務等に従事していた労働者について,午前零時から午前6時までの仮眠時間は,仮眠室の状況,実作業の内容・作業頻度等に照らし,使用者の指揮命令下に置かれ,労働時間に当たると認定した事例
2 シフト表に基づく勤務の終業時刻について,引継ぎに要する時間を一部加えた時刻を認定した事例
3 就業規則に定める1か月単位の変形労働時間制について,単位期間の各日,各週の労働時間が特定されていないなど労働基準法32条の2の定める要件を満たしておらず無効とした事例
4 就業規則に定める1年単位の変形労働時間制について,労働者の過半数代表者との有効な労使協定の存在が認められず,適用対象となる労働者の範囲も不特定であり,労働基準法32条の4第2項及び同法施行規則12条の4第2項の手続を経ていないなど同法32条の4の定める要件を満たしておらず無効とした事例
5 固定残業代制について,明確区分性及び対価性の要件をいずれも欠き,割増賃金の支払として認めなかった事例
6 労働者が訴訟における証拠とするために持ち出した日報は,違法収集証拠に当たり,訴訟法上の信義則に反するものであって,証拠能力を否定すべきであるとの使用者の主張を排斥した事例
東京地裁(令和元年5月30日)判決
無期契約労働者である大学の専任教員と有期契約労働者である上記大学の非常勤講師との本俸の額並びに賞与,年度末手当,家族手当及び住宅手当の支給に関する労働条件の相違が,労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たらないとされた事例
労働経済判例速報(3/10)2437号
マツヤデンキ事件 大阪高裁(令和2年11月13日)判決
労災認定後の労災民事訴訟において,使用者の安全配慮義務違反が否定された例
労働経済判例速報(3/20・30)2438号
日本通運事件 東京地裁(令和2年10月1日)判決
同一の使用者との間で,労働契約の更新を7回行った有期契約社員に,次の更新の合理的な期待が認められなかった例
多摩市事件 東京地裁(令和2年10月8日)判決
病気休職中の産業医面談(月1回)の不実施が安全配慮義務違反には当たらないとされた例
労働判例ジャーナル 108号(2021年・3月)
サンセイ事件 東京高裁(令和3年1月21日)判決
従業員の過労死に関する取締役の責任(安全配慮義務違反を認定,会社と取締役1名への請求認容)
国立大学法人徳島大学事件 高松高裁(令和2年11月25日)判決
大学法人に対するパワハラ等に基づく慰謝料等請求(請求一部認容)
豊田中央研究所事件 名古屋地裁(令和2年11月24日)判決
業務指示に従わないこと等を理由とする解雇の有効性(解雇は適法)
中央自動車工業事件 大阪地裁(令和2年11月19日)判決
労基法19条1項違反に基づく解雇無効地位確認等請求(解雇は適法)
長崎自動車事件 福岡高裁(令和2年11月19日)判決
組合員の懲戒処分無効確認等請求(懲戒処分と転勤命令は無効,損害賠償請求を一部認容)
社会福祉法人柏涛会事件 徳島地裁(令和2年11月18日)判決
就業規則の定めと解雇無効地位確認等請求(解雇無効)
熊本県・熊本県教委事件 熊本地裁(令和2年11月11日)判決
児童の個人情報の漏洩等を理由とする懲戒免職処分等取消請求(懲戒免職処分は適法,退職手当不支給も適法)
国・海保大事件 福岡高裁(令和2年11月10日)判決
海保大元学生らの国に対する損害賠償等請求(請求棄却)
独立行政法人国立病院機構事件 東京地裁(令和2年10月28日)判決
相殺無効に基づく未払退職手当等支払請求(相殺合意は有効,請求棄却)
アクレス事件 東京地裁(令和2年10月15日)判決
管理監督者該当性と未払賃金等請求(管理監督者に該当せず,固定残業代制度は無効,請求一部認容)
多摩市事件 東京地裁(令和2年10月8日)判決
人事権濫用・安全配慮義務違反に基づく損害賠償等請求(請求棄却)
奈良市事件 大阪高裁(令和2年10月1日)判決
セクハラ・パワハラに基づく慰謝料等請求(セクハラ・パワハラを認定,請求一部認容)
国・中労委(国際基督教大学)事件 東京高裁(令和2年6月10日)判決
団交申入れに関する労組法7条の「使用者」該当性(派遣先の使用者該当性なし)
東京キタイチ事件 札幌高裁(令和2年4月15日)判決
小指負傷による業務遂行不能を理由とする解雇の有効性(解雇無効)
京都府事件 京都地裁(令和2年3月24日)判決
学生運動関与秘匿を理由とする分限免職処分の有効性(処分無効)