2023年1月に公刊された判例雑誌(労判、判タ、労経速、判時、労判ジャーナル)から労働裁判例の目次を整理しました。
労働判例 2023年1月1日・15日合併号 No.1275
JR西日本(岡山支社)事件
岡山地裁(令和4年4月19日)判決
待機場所間違いによる乗継ぎ遅れと賃金控除の可否(通常想定される範囲内での人為的なミスによって時間遵守ができず行った賃金控除は違法)
学校法人茶屋四郎次郎記念学園(東京福祉大学・授業担当)事件
東京地裁(令和4年4月7日)判決
教授に授業を担当させなかったことの債務不履行該当性等(教授に授業を担当させなかったことが債務不履行に該当、パワハラ申告についての回答遅延も債務不履行に該当)
巴機械サービス事件
東京高裁(令和4年3月9日)判決
総合職(男性)と一般職(女性)との処遇格差と労基法・均等法違反該当性(労基法違反には不該当、均等法違反に該当)
国・天満労基署長(大広)事件
大阪地裁(令和4年6月15日)判決
マーケティングプランナーの自殺の業務起因性(業務起因性なし)
スタッフマーケティング事件
東京地裁(令和3年7月6日)判決
派遣労働者の雇止めの可否(雇止めは無効)
バイオスほか(サハラシステムズ)事件
東京地裁(平成28年5月31日)判決
派遣先会社での雇用禁止合意と派遣法33条違反の成否(直接雇用禁止合意は無効、派遣法33条違反が成立)
テイケイ事件
東京都労委(令和4年6月21日)命令
1 会社による退職勧奨の太陽は、極めて問題であるといわざるを得ないが、Cら3名の工事現場における勤務態度が必ずしも良好なものであったとはいえないこと等の事情を勘案すれば、Cに対する退職勧奨は、同人が組合員であることを理由として行われたものであるとまでは認められないことから、組合員であるが故の不利益取扱いには当たらず、また、組合の運営に対する支配介入にも当たらないとされた例
2 団体交渉申入れ時点において会社の業務が妨害されたことについての疎明はないこと等の事情を勘案すると、会社において団体交渉を拒否する正当な理由とはならないとするのが相当であり、組合が申し入れた団体交渉を拒否した会社の対応は、正当な理由のない団体交渉の拒否に当たるとされた例
3 会社による本件文書送付行為等が、組合の運営に対する支配介入に当たるとされた例
マテロックス事件
大阪府労委(令和3年5月7日)命令
1 D組合員は、取締役であっても、実質的には使用人としての地位にあったとみるのが相当であり、労組法3条の労働者に該当するというべきであるとされた例
2 D組合員が組合員であることを否定し、団交申入れに応じなかった会社の対応は、組合の運営に対する支配介入であり、労組法7条3号に該当する不当労働行為であるとされた例
労働経済判例速報(1/10)2499号
北九州東労働基準監督署長事件
福岡地裁(令和4年3月18日)判決
精神疾患発病から4年後の症状悪化に業務起因性を認め、療養補償給付の不支給が違法とされた例
フジアール事件
東京地裁(令和4年5月13日)判決
在職した会社の役職員への誹誇中傷メール送付等の行為に対し、損害賠償請求が認容された例
労働経済判例速報(1/20)2500号
大阪府事件
大阪地裁(令和4年6月28日)判決
部活動指導や語学研修準備等を含む過重な業務による高校教員の適応障害発症に、校長の安全配慮義務違反が認められた例
シティグループ証券事件
東京地裁(令和4年5月17日)判決
周囲への言動が管理職としての適格性等を欠くとしてなされた本採用拒否が有効とされた例
労働経済判例速報(1/30)2501号
学校法人沖縄科学技術大学院大学学園事件
福岡高裁那覇支部(令和4年9月29日)判決
定年までの終身在職権が付与されなかった大学准教授の契約更新への合理的期待が否定された例
判例時報 No.2536 2023年1月1日号
福岡高裁(令和3年12月9日)判決〈参考原審:福岡地裁田川支支部(令和3年3月17日)判決〉
期間付きで雇用された公立図書館の館長が労働基準法41条2号の「監督若しくは管理の地位にある者」(管理監督者)に該当するとされた事例
労働判例ジャーナル 130号(2023年・1月)
医療法人佐藤循環器科内科事件
松山地裁(令和4年11月2日)判決
賞与の支給日在籍要件の適法性(適法だが、本件は病死退職で遺族の請求認容)
東横イン事件
名古屋地裁(令和4年9月29日)判決
安全配慮義務違反に基づく損害賠償等請求(安全配慮義務違反あり、請求一部認容)
学校法人常磐大学事件
水戸地裁(令和4年9月15日)判決
ハラスメント行為を理由とする懲戒処分の有効性(懲戒処分は無効)
国・岐阜労基署長事件
名古屋高裁(令和4年9月14日)判決
自殺した亡労働者の精神障害発症の業務起因性(業務起因性なし)
伊藤忠商事事件
大阪地裁(令和4年9月9日)判決
退職の意思表示無効地位確認等請求(退職の意思表示は有効、請求棄却)
損害賠償(慰謝料)請求事件
甲府地裁(令和4年9月1日)判決
パワハラ等に基づく損害賠償等請求(請求一部認容)
巖本金属事件
京都地裁(令和4年8月31日)判決
安全配慮義務違反に基づく損害賠償等請求(請求一部認容)
Man to Man Animo事件
岐阜地裁(令和4年8月30日)判決
障害者の職場環境改善義務違反に基づく損害賠償等請求(請求棄却)
F.TEN事件
大阪地裁(令和4年8月29日)判決
管理監督者該当性と深夜業(管理監督者に該当するが、深夜業の割増賃金請求一部認容)
日本郵便事件
福岡地裁(令和4年8月26日)判決
亡労働者の自死に基づく損害賠償等請求(請求棄却)
MARUWA事件
名古屋地裁(令和4年8月26日)判決
安全配慮義務違反に基づく損害賠償等請求(安全配慮義務違反あり、請求一部認容)
神奈川県事件
横浜地裁(令和4年7月29日)判決
拳銃で自死した警察官の両親の損害賠償等請求(安全配慮義務違反あり、請求一部認容)
テレビ宮崎事件
福岡高裁宮崎支部(令和4年7月6日)判決
退任慰労金減額分相当額等の支払請求(請求認容)
関西新幹線サービック事件
大阪地裁(令和4年6月23日)判決
違法な出勤命令に基づく損害賠償等請求(出勤命令に違法性なし、請求棄却)
日本振興事件
大阪地裁(令和4年6月17日)判決
採用内定取消に基づく損害賠償等請求(採用内定は不成立、請求棄却)
フジアール事件
東京地裁(令和4年5月13日)判決
元従業員に対する損害賠償等請求(請求一部認容)
クレディ・スイス証券事件
東京地裁(令和4年4月12日)判決
整理解雇の有効性(整理解雇は有効)