従業員_給料_差押

従業員の賃金が差し押さえられた場合の会社の対応

社長
当社の従業員Yが、各種ローンによる多重債務に陥り、裁判所より給与の差押命令が送達されました。この場合、当社としてはどのように対応すべきなのでしょうか?
弁護士吉村雄二郎
労基法24条は賃金は直接労働者に支払わなければならない旨を規定していますが、労働者の債権者が民事執行法143条以下の規定に基づいて賃金債権の差押を行った場合は、会社が同債権者に差し押さえられた賃金を支払っても労基法24条違反とはなりません。
従って、差押決定を受領した会社は,決定に記載された請求債権額に満つるまで毎月の賃金支払額中の差押部分は労働者に支払うことが禁止され,差押債権者へ支払うか供託をしなければなりません。
なお、債権者が差し押さえることが出来る範囲は、民事執行法152粂(差押禁止債権)により,原則として、当該支払期に受けるべき賃金額(源泉税の控除後)の4分の1の範囲内に限定されています。具体的には、毎月の賃金が44万円を超えないときは,差押額は,賃金の4分の1に相当する部分であり,44万円を超えるときは,33万円を超える部分すべてが差押額になります。
また、税務署その他の行政官庁が国税徴収法の規定に基づき,貸金債権に対して差し押さえ処分を行った場合も,同様に,差押債権者たる行政官庁に賃金を支払っても貸金の直接払いの原則に違反しません。

 

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