採用内定者と賃金

採用内定者に対する賃金支払義務がある?

社長
当社では新卒の採用内定者に対して内定時研修を4回実施しています。研修参加者には,毎回,交通費として3000円を支給するほか、採用後4月1日に研修手当として1回につき1万円(合計4万円)を支給する旨を参加者に伝えています。
ところが、3月半ばまでに内定時研修に3回参加した内定者Yが、3月下旬になり突然内定辞退の通知をしてきました。その上、Yは3回分の訓練手当の支払いを求めてきました。
このような場合でも手当を支払わなければならないのでしょうか。
弁護士吉村雄二郎
採用内定は,始期付解約権留保付労働契約です。内定時研修の内容が、例えば本来入社後に行う新人研修の前倒しといえるようなものである場合は、研修への参加は、貴社の業務命令に基づく労働であるといえ、その対価たる研修手当は「賃金」にあたるといえます。その場合、内定辞退者からの請求であっても,その支払いを拒むことはできません。
採用内定の段階でも、労働契約は成立している。
内定時研修が業務としての性質をもつ場合は、研修への参加が労務の提供となる。企業は労務提供の対価たる賃金支払義務が生ずる。
内定辞退後も、発生した研修手当の支払請求権は残る。

労働問題に関する相談受付中

営業時間:平日(月曜日~金曜日)10:00~18:00 /土日祝日は休業