労働時間

労働時間・休日の基本ルール

労働時間の基本概念について、労働問題専門の弁護士が分かりやすく解説します

会社が人を雇うとき、「何時間労働を命令することができるのか」は、事業遂行のための労働力の観点から重要な条件となります。労働者からしても、「会社で何時間働かなければならないのか」は、重要な関心事になります。そこで、労働時間・休日・休暇の基本ルールについて説明します。

労働時間の重要なルール

1日8時間,1週間40時間を超えてはならない

使用者は,労働者を,休憩時間を除き,1日8時間,1週間40時間を超えて労働させてはなりません(労基32Ⅰ,Ⅱ)。

小規模の商業・サービス業は1週44時間にできる

商業、映画・演劇業(映画の製作の事業を除きます),保健衛生業,接客娯楽業の事業であって,規模10人未満のものについては,「1日8時間,1週44時間とすることが認められています。

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10分で分かる!週44時間の労働時間制(特例措置対象事業)の活用方法

管理監督者は1日8時間、1週40時間の規制が除外される

管理監督者など一定の労働者には、労基法における休憩、休日、割増賃金等の労働時間規制が適用されません。

労基法41条に規定する「適用除外者」で、以下の者が定められています。

  1. 農業、畜産業、養蚕業、水産業に従事する者(労基法41条1号)
  2. 管理監督者、機密事務取扱者(同条2号)
  3. 監視・断続的労働の従事者で労働基準監督署長の許可を受けた者(同条3号)

注意事項

  • 管理職 = 管理監督者ではない。管理監督者はかなり狭い概念。部長クラス以上じゃないと普通は認められない。
  • 管理監督者であっても、深夜業の割増賃金(労基法37条4項)年次有給休暇(同39条)、年少者・妊産婦の深夜業禁止(同61条、66条3項)についての適用は排除されない。
  • 管理監督者であっても、労安衛法66条の8の3で定める面接指導のための労働時間の把握義務の適用も排除されません。労働時間の把握自体は必要。

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【徹底解説】残業代のいらない「管理監督者」とは

1日8時間1週40時間の割り振りを柔軟に設定できる場合がある

労基法では,1日8時間、1週40時間の規制の中で,この時間の割り振りの例外として,より弾力的な労働時間制度である以下の変形労働時間制を認めています(変形労働時間制 労基法32条の2~32条の5)。

  1. 1か月単位の変形労働時間制(労基法32条の2)
  2. 1年単位の変形労働時間制(同32条の4)
  3. 1週間単位の非定型的変形労働時間制(同32条の5)
  4. フレックスタイム制(同32条の3)

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【10分でわかる】1ヶ月単位変形労働時間制の方法(協定書・書式あり)

1日8時間1週40時間を超えさて残業させることもできる

労基法は,「1日8時間、1週40時間」の法定労働時間を超える労働を例外的に認めています。つまり、残業や休日労働をさせることを認めています。

注意事項

  • 時間外労働の労働契約上の根拠(就業規則・雇用契約書の記載)が必要
  • 時間外労働に関する協定(36協定)を労使で締結し、労働基準監督署へ届け出る必要がある
  • 時間外労働については割増賃金(月60時間までは25%以上、月60時間を超える部分は50%以上)の支払いが必要

休憩時間を与えなければならない

労基法は、労働時間が6時間を超える場合には45分以上8時間を超える場合には1時間以上の休憩時間を労働者に与えなければなりません(労基法34条1項)。

違反した場合は罰則がある

労働基準法が定める労働時間の上限を法定労働時間といい,この規制に違反した使用者は,6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金(労基119)に処せられます。

休日の重要なルール

休日とは

休日は,労働契約にもとづく労働義務を負わない日をいいます。

休日は、暦日単位で与える必要があります。原則として午前0時から午後12時まで与えなければまりません。

1週1日 または 4週4日 の休日を与えないといけない

1週間に1日あるいは4週間を通じて4日の休日を与えなければなりません(労基法35条1項・2項)。この労基法35条で定める休日を法定休日といいます。

もっとも、週40時間の労働時間ルールとの関係で、1日の労働時間を8時間と設定する場合は、週7日のうち2日は休日とする必要があります(法定外休日・所定休日)。

法定休日に勤務させることもできる

法定休日に労働させることは禁止されますが、例外的に、休日労働をさせることができます。

注意事項

  • 休日労働の労働契約上の根拠(就業規則・雇用契約書の記載)が必要
  • 休日労働に関する協定(36協定)を労使で締結し、労働基準監督署へ届け出る必要がある
  • 休日労働については割増賃金(35%以上)の支払いが必要

休日振替と代休により割増賃金の発生を抑えることができる

休日振替とは、就業規則などの規定に基づき、あらかじめ所定休日と定められた日と他の労働日と振り替えて、所定休日として定められていた日を労働日とし、その代わりに振り替えられた日を休日とする制度です。振り替えられて労働日となった日(もともとの所定休日)は、振替え後は労働日となりますから、その日に勤務しても休日労働とはなりません。

法定休日であった日を労働日に振り替えた後は、元法定休日の日に勤務しても、休日労働のための36協定の締結・届け出や割増賃金の支給は必要ありません

代休とは、事前に振替手続を行わないまま休日に労働させ後にこれに休日労働の代償として以後の特定の労働日の労働義務を免除する措置を意味します。

振替休日と異なり、代休を与えても休日労働させた事実はなくなりません

そのため、この休日労働が法定休日労働に該当する場合は1.35分の休日割増貸金を支払わなければならないことになります。

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代休と休日振替えで休日割増賃金の発生を防ぐ方法

 

 

 

 

 

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